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危険地帯



「でも、樹里が重そうなの持ってるから手伝おうと…」


「手伝いに来てもらったヤツを手伝ってたら意味ねえだろ。
俺がやるからお前らは行ってこい。
んで、試合に勝て。樹里も手伝って貰うよりそっちの方が嬉しいよな?」


英二が言い返そうとするけどいっちゃんに言いくるめられてる。


「っ!はい。2人とも頑張って!」


「っ//おお。」

「行ってくる。」



やっぱ2人には試合で活躍して欲しいから頑張ってって言ったら、英二は顏赤くしながら頷くし、亮先輩は微笑みながら頭を軽く撫でて、2人とも走ってアップしに行った。


頑張って!そして、勝ってね。

2人の後ろ姿を見ながらそう祈った。










「部長、樹里に気安く触らないで貰えます?」


「それは、彼氏の分際で?
それとも、ただの友達としてかい?」


「今はまだ友達としてですが、その内、先輩が言う彼氏になるつもりなんですよ、俺は。」


「君が?
…俺が樹里に気があると言ったら君はどうするんだろうね?」


「そんな言い方しか出来ないような軽い気持ちで樹里に手出さないでください。
部長相手でも負けませんよ。」


「俺の気持ちは君が思うほど軽くない。」


「あ、そうですか。それでも負ける気しませんけど?」


「俺の気持ちを軽いと言った君を後悔させてあげよう。」


「望むところですね。

てか、猫被りいい加減止めたらどうっすか?」


「猫被りではない。

とりあえず、樹里のことは一時中断だ。
まずは、この試合に勝つぞ。」


「はい。とりあえずまずはコーチが言ってた通りに…―」


アップしに樹里の元から走り出した2人。樹里の話をする2人の顏は笑ってるのに目はいつも以上に真剣だった。









「樹里、悪かったな。
サッカー部の試合、手伝わせて。
意外とやること多くってな。」


「いえ、久々にサッカー見れるし、楽しんでますよっ!」


「それは良かった。」


結局いっちゃんにかごを持ってもらいながらボトルを置いていってる。

ほんとにいっちゃんて優しい!


コートの真ん中では、英二と亮先輩がコーチを囲んで話し合ってる。アップはもう済んだのかな。



「あ!後、お礼も貰えるし。ね?」


「そうだったなあ。何が良い?」


「んー、まだ思い付かないんで、思い付いた時じゃ駄目ですか?

あ、これで最後ですよ。」


「ん。いいよ。

よし、とりあえずお疲れさま。
後は試合終わった後だな。
章とかも来てただろ?観客席で見てこい。」


お疲れさまって言いながら頭を撫でる、大きないっちゃんの手。



「はあい!

てか、いっつも思ってたんですけど何で頭撫でるんですか?亮先輩も玲音先輩も…英二はいっつもですけど。」


前から気になってたんだよね。英二には私からもするくらい仲が良いから特に気にしなかったけど、何だかこの学校に来てからスキンシップが多くなったと思うんだよね。


「んー、樹里って女の子っぽいからなあ。
触りやすいというかなんというか…、あ、触られるの嫌か?」


「いえ、むしろ好きですよ。安心感があるし。
でも、俺は男ですからねっ!女の子っぽいなんて止めてください。」


「分かってるよ。悪かった。

あ、好きな子ほど触りたいって言うぞ?」


「じゃあ、いっちゃんも俺のこと好きってこと?」


「え?あ、ああ。好き…だよ。」


「良かったー!俺もいっちゃん好きですよっ!

じゃあ、観客席行ってきま〜す!」



「…―何なんだあの笑顔υ
仮にも生徒と教師…ましてや男にいわれて顏が熱くなるなんて…。

樹里は天然だ、絶対。」



だなんて、いっちゃんがブツブツ言ってるのに全然気づかなかった。




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