危険地帯
10
「ああ〜!!樹里くん、いたあ!!」
何だろ?と思って振り返る前に、誰かに後ろから抱きしめられてた。
もうびっくりして声も出ない。
「副会長?てか、何抱きついてんすか!」
焦って言う英二の言葉に今日会ったチャラ男の姿を思い出した。
「あ、あの、玲音先輩?
離してもらえません?」
「ん?ダ〜メ。
亮が探してたよ?
約束すっぽかしたんだって〜?」
未だに抱きついたまま言う玲音先輩の言葉に朝言われた一言を思い出した。
…━
「ああっ!忘れてたあ!!」
どうしよう!
生徒会長忘れるとかヤバいよね?
「樹里、何で会長とかと知り合いなの?」
不機嫌そうに言う英二に樹里は首を傾げた。
「そんなことより一応行った方が良いんじゃない?」
焦る私に章が心配そうに言った。
「うん…、行ってくる!二人共、お昼約束してたのにごめんねっ!!」
「大丈夫。飯ならいつでも食えるだろ?片付けとくから行ってきな。」
ぶっきらぼうにだけど、微笑んで言う英二に私は頷いた。
「ありがと、行ってきます!」
玲音先輩はいつの間にか離れて携帯で喋ってる。
立った樹里を見て、樹里の肩を抱いた玲音先輩は「出発〜!!」と言って連れて行った。
「なあ…会長と副会長が動くの珍しいよなあ。樹里って大物?」
「…、さあな。」
問いかける章を軽くあしらって英二はそのまま無言でお昼を食べていた。
「樹里くん、亮を忘れるとかすごいねえ。」
笑いながら未だに私の肩に手を乗せている玲音先輩。
私はひきつり笑いをするだけ。
何処まで行くんだろ?
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