危険地帯
9
キンコンカンコーン
「ふあぁ、終わったあ!」
大きく伸びをしながら言ったら英二と章に笑われた。
だって、クラスといい始業式といい、いっぱいの視線にずっと耐えてたんだもん。
何であんなに皆ジロジロ見てくるのかなあ。
なんか気疲れした。
そんな樹里を見てたヤツらは英二と章が睨み付けて牽制してたのは言うまでもない。
だが、そんな英二と章をもろともしないクラスの連中ではみんな樹里の所に集まって根掘り葉掘り聞いてきて…、最終的には英二が全て答えていたのだ。
その間、樹里は章と話していた。
そのおかげか名前を呼び捨てで呼び合うほど仲良くなっていたのだ。
章は樹里に名前を呼ばれる度にどんどん笑顔になっていく。
英二から見たらただデレデレしているようにしか見えないのだが…。
英二の話に聞き入ってるクラスの連中を見て樹里は、
やっぱ格好良い人多い。友達に言ったら羨ましがられるなー。
でも、英二と章はそれよりも格好良い。類は友を呼ぶってヤツだね。
なんて呑気に考えていた。
「終わったことだし、寮に帰るか。樹里行こうぜ?」
「あっ!俺も〜」
疲れてボーっとしてたら英二が誘ってきて、それに便乗する章。
「うん!章も一緒に帰ろっ!!」
せっかく友達になったんだから当然だよっ。
「///…おぅ。サンキュ!」
笑顔で振り向くと何故か赤くなる章。
首を傾げながらも帰る準備をし始めた樹里。
赤くなってる章は少し離れてる英二のそばに行って小声で話し始めた。
「なあ、英二…、樹里ってその辺の女より全然可愛すぎなんだけどυ」
「一応…男だから。勘違いすんなよ。
(じゃなきゃ俺が苦労しっぱなしだっつうの)」
「分かってるよっ!」
ちょっと大きな声を出した章に樹里は「どうしたの?」と聞いてきた。大きな目を見開いてびっくりしている。
「何でもない。準備出来たなら行こう?
昼飯無くなるぞ。」
「あ、待ってー!」
教室を出ていこうとする英二を追いかける樹里。そんな2人に気づいた章は慌てて追いかけた。
「ん〜!美味しいっ!!」
今、英二と章とラウンジでランチ中。
ラウンジはいつもは朝と夜しか開いてないけど、始業式とかテスト中とか帰宅が早いときは昼も開けてくれるみたい。
それにしても、お祖母ちゃんの友達のシェフが作る料理は格別に美味しい。
さっすがミシュランに載ったことのあるレストランで働いてたシェフだ。
なんて思いながら料理を食べてると後ろからおっきい声が響いた。
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