涙のあと
4
龍先輩の腕の力が弱まる。絢は龍先輩のほうに向き直って言った。
「あのね…、わ、私、お義兄ちゃ…、ううん、龍先輩のことが…好き。
でもね、兄妹だし、もう諦めるから。もうちょっと待ってて?」
顔を上げれずうつむいて言いきった絢。でも、先輩は何も言ってくれない。
焦れったく思った絢が上を向いた瞬間、龍にまた抱きしめられた。苦しいほど強く…。
「ぇ?龍先…」
「絢…、そんなこと言うなよ。
止められないじゃないか…。」
言いきった瞬間、絢の唇が龍の唇で塞がれていた。
「(ぇ…?どういうこと?ていうか苦しい!)」
混乱する絢が息を吸おうと口を開けたが、龍の舌が入ってきてまた体がびくついてしまう。
しかも龍は絢の後頭部を押さえて更に深く舌を絡めてくる。
「(ヤだ…体が熱い)
ん…ふぅ…ぁん…んぅ」
ゆっくりと龍の唇が絢の唇から離れていく。二人の間の銀の糸がプツリと切れた。
どれくらい絡めていたのだろうか。絢が肩で息をするほどキスしていた。
絢が目尻に涙を溜めながら龍を見上げると
「絢のせいだから…
抑えてたのにもう無理だ。」
龍は絢の耳元で言った。妖しく笑いながら。
「ぇ?どういうこと?龍先…」
「名前で呼んで。先輩なんてつけないで。俺が何言いたいか…分かるだろ?」
耳元で言う龍の声、言葉に絢の体はビクビクしてしまう。
「わかんないよ。言葉で言って?」
龍を見上げながら言う絢に
「馬鹿…υ」
そう言うが早いか絢を抱き上げ龍の寝室へと向かっていった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!