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涙のあと



「なぁに重い溜め息してんの?
…まさか、まだ龍先輩のこと諦めようと思ってるの?」


「…。」


「兄妹だからって恋しちゃいけないの?違うでしょ?恋に落ちちゃったんだから仕方ないでしょ!
無理にやめようとしなくていいんだよ。」




うつむく私に梨衣が優しく言ってくれる。

でも…



「だって、イケナイことじゃない。私は諦めるの。もう決めたの。」




昨日散々泣いた私は決断したんだ。もう諦めるって。


腫らした目を梨衣に向けて言いきった。




「そんなに言うなら分かったけど…、ひとつだけ!
ちゃんと気持ち伝えてから諦めなさい。」




まるで諭すように言う梨衣の言葉に私は最後まで頷けなかった。














「はあ…。(なんか最近溜め息多いなあ。)」




なんて考えながら夕飯を作ってると目尻に涙が溜まってきた。




「(なんか涙脆くもなったかも)…ぐすっ。」




「絢?また泣いてる。」


ビクン



いつの間にかリビングにいた龍先輩に声をかけられてびっくりした。




「ぁ、違うの。これは…。」




言い訳しようとしたけど最後まで言えなかった。

なぜなら、龍先輩に後ろから抱きしめられたから。




「絢…。何で泣いてるの?俺じゃ頼りない?いい加減理由教えてよ。」




先輩の熱い息が耳にかかる。先輩の声が耳の奥まで届いて私の体がびくついてしまう。




「ゃ、お義兄ちゃ…、離してょ…」


「嫌だ。何で泣いてるのか教えてくれるまで、離さないよ。」




そう言って更に力を入れて抱きしめてくる。
絢の頭に昼間の梨衣の言葉がよぎった。




「(気持ち伝えていいのかな…でもずっとこの想いを引きずれない)

分かった。言うから離して?」





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