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涙のあと



龍先輩の冷たい手が私の目元に触れた。


ドキッてしちゃうよ…。



「っ!な、何でもないの!目にゴミが入っちゃって…あははυ」


「ほんとに?なんか嫌なことあった?」




なんて私と目の高さを合わせて心配そうに聞いてくる。

…お願いだから、優しくしないでよ。






「何にもないってば!もう、りゅ…お義兄ちゃんったら心配症なんだから。」




私は笑いながら龍先輩の手を退かした。

先輩はまだ心配そうにしながら、




「分かったよ。絢が何にもないっていうなら。…でも何かあったら絶対俺に言うんだぞ?」




私に目を合わせながら退かしたはずの手を私の頭に乗せる。




「…うん。」




精一杯笑いながら龍先輩を見た。




「ようし!腹減ったし夕飯にしよう。今日は仕方ないからピザでも頼もうぜ!」


「こっちに来てから初めてだっ!何処のにする?」




私の頭をポンポンしながら言う龍先輩に私は心配かけないように精一杯笑って話を合わせる。


ズキズキ痛む胸を押さえて…。














「「「キャー!!!龍先輩っ!かっこいいー!!!」」」






黄色い声とはまさにこのこと。私はちょっとうんざりしながらも煩い窓の外を見た。


暑い日差しの下で龍先輩、もとい、お義兄ちゃんがサッカーをしてる。
やっぱりかっこいいと思いながら見てると…


「あ〜、何かうっさいと思ったら絢のお義兄さ…「ちょっと!そんなことおっきな声で言わないでよ!」



私は慌てて親友である梨衣の口を塞いだ。
梨衣はもちろん私が龍先輩を好きなことを知ってるけどその龍先輩と兄妹であることも知ってる唯一の人。

梨衣は私の手を退かしながら



「はいはい。もし龍先輩のファンクラブに見つかっちゃったら可愛い絢がいじめられちゃうもんね。」




なんて笑って言いながら私の頭をポンポンする。




「はあ…。」





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