愛言葉を叫びましょう
lesson\
〜響side〜
「ぐすっ…っ」
あれからどの位時間が経ったのだろう…。
気がつけば、瑞希は泣き疲れて眠ってしまっていた。
「そーいやー昨日、寝れなかったんだっけ」
当然の事ながら返事は返ってこない。
ふと頬が緩む。
軽々と瑞希の身体を持ち上げてソファーの上に寝かせようとした。しかし、瑞希は強く俺のYシャツを握っていて離れなかった。
「可愛いヤツ…」
ゆっくり手を開いていく。くしゃくしゃになったYシャツに着いていたのは血だった。
瑞希の手のひらを見ると、爪が食い込んで血が出ていた。
「はぁ…」
絆創膏を持ってきて、手のひらに張る。
…ちっさい手…
こんなちっさい体で何でも独りで抱えて…。
「頼るってゆー選択肢はお前の中に無いのか?」
「んっ…」
目に掛かっていた前髪をよけると、瑞希は身じろぎする。
その時目に入ったのは、少し腫れている小さなピンク色の唇…。
「切れてんじゃねーか…」
ピンク色の唇が痛々しい程赤く腫れている。
「…ん」
舐めるように優しくキスをした。
舌先に感じる血の味。
と、同時になぜか甘い蜂蜜の味。
ー瑞希の味…。
「ふ、何で蜂蜜の味すんだよ(笑)」
俺は柔らかい頬を撫でながら微笑んだ。
「お前は俺が嫌いなんかねー…?」
今朝から目が合ってもすぐ逸らされ、声を掛けたら慌てて違う方向へ逃げられる始末…。
「明らかに避けられてるだろ、これ…」
深い溜め息を吐く。
「まあ…起きてたとはいえ、寝込み襲ったのは悪かったよ…」
つん、頬をつつく。
「っつーか…今も起きてるんだろ?瑞希」
ビクッ
瑞希の体が跳ねた。
おもしれーヤツ(笑)
ま、気付いてないフリしてやるけどさ。
「…寝てるみたいだし、そろそろ行くかな…。」
そっと立ち上がり、ソファーからゆっくり離れる。
「お前が俺の事嫌いでも、俺は好きだからな」
…何かすっごく恥ずかしい。居たたまれない気持ちになり、急いで教官室を出た。
「早く気付けよな…」
ずっと、ずっとあいつを見ていたんだ。瑞希だけを…。
本当笑えるくらい…
「瑞希に惚れてんなー、俺(笑)」
ま、これからの瑞希の反応が楽しみだな(笑)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!