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05.敵の敵が味方とは限らないよ(雲綱骸)





ねえ教えて

オレの味方は
いないんですか!?




05.敵の敵が味方とは限らないよ(雲綱骸)






「綱吉くーん、どこですかー?綱吉くーん?」


だんだんと遠ざかっていく、オレを探す骸の声。オレは茂みの中でやっと一息つけた。茂みは小柄なオレをすっぽりと覆い隠してくれたから、見つからずに済んだ。

骸はどういうわけか同性のオレが好きらしい。それが自分で言うのはあまりいい気分じゃないけど、骸はオレのこと本当に好きらしくって。好きで好きでたまらないらしくって。

でもオレは骸と付き合う気は全くない。それで拒否しまくっていたら、骸は「なら君を殺して僕のものにします」とまで言い出した。
うわあオレ、初めてヤンデレにあったー…なんて他人事のように考えていたら骸に槍で貫かれそうになって、もう冗談じゃなく本当にヤバい状況になった。こんなことなら付き合っておけばよかった。でも後悔してもしょうがない。この後悔の力で死ぬ気になれそうだけど、それでも骸には殺られるだろう。

沢田綱吉、絶体絶命のピンチ。これから一体どうすればいいんだろう。

悩んでいたそのとき、急に茂みが開かれた。オレは驚愕に悲鳴を上げる。見つかった、殺られる…!そう思ってキツく目を閉じたけど、いつまでたってもオレに何も衝撃がくることはない。
恐る恐る目を開ければ、そこに立っていたのは骸ではなかった。


「君…何してるのこんなとこで」
「ひ、雲雀さん!」


呆れた顔をした雲雀さんがオレを見下ろしていた。雲雀さんもおっかない人だけど、今の骸と比べたら全然マシだ。それに雲雀さんは骸と敵対してるから、揃ってオレを殺すようなことはない。
オレには雲雀さんが救世主のように見えた。


「雲雀さんで本当によかったです…。骸だったらオレ、殺されるところでした」
「殺される…?」
「はい。オレを殺してでも自分のものにしたいとかで…」
「ふうん…」


オレは軽く笑いながら言った。でも、その瞬間にオレたちを取り巻く空気が変わった。


「それ、いいかもね」
「…!」


そこでオレは気づいた。雲雀さんも危ない人だということを。なんであんな軽率なことをしたんだろう。敵の敵は味方じゃない。味方もいつ敵になるかわからない。そんなこと、当たり前なのに。

逃げだそうとしたオレを、トンファーの仕込み玉鎖がとらえた。
雲雀さんは舌なめずりをしながら言った。


「君に選択肢をあげる。僕を受け入れて生きながら愛されるのと、僕を拒んで死んで愛されるの。どっちがいい?」


なんて不利な選択肢。

骸も雲雀さんも同じ人種だということが、今はっきりとわかった。

本当の味方は、一体誰?













あきゅろす。
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