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dream
second button

別れの季節、


出会いの季節。


春はどちらでしょう?









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生徒会長っていうのは、こんなにも忙しいものですか。

「はぁ、もういやや、疲れた…」

致命的に勉強が不得意なあたしは、このままじゃ高校卒業できないよ〜なんて言われて。

生活面で点数上げるためダメ元で立候補させられた生徒会長。

絶対負けると思ったのに、
何がどう転んだのか選挙で当選してしまった。



今日は1つ上の先輩の卒業式。

式が終わったら、電報の整理に後片付け。
お世話になった先輩に挨拶さえもできない。


もちろん、憧れのあの人にも。


軽音部に所属しているあたし。
先輩のバンドで生き生きとドラムを叩いている大倉先輩にも、もう会えなくなる。

東京では珍しい自分と同じ関西弁ももう聞けなくなるし、

いつも黙ってにこにこ笑ってるあの笑顔も、もう見れなくなる。


ふと窓の外を見ると、泣きじゃくるたくさんの女の子に囲まれた大倉先輩が見えた。

今どき第2ボタンでもせがまれてるのかな。
あの人数じゃ絶っっ対にボタン足りないだろうなぁ…


「後片付け、先輩が帰ってからにしよ…」

今動いたら泣きそう。


イスに座ろうと思ったとき、外の大倉先輩と目が合った気がしたのは、
たぶん気のせい。



昼寝でもしようかな。
そう思った瞬間に睡魔が襲ってきた。


「さくらちゃん」

誰だ、昼寝の邪魔するやつは。
ぼーっとした頭で脳みそを整理すると、
今一番聞きたかった声だと気づいた。

「…大倉先輩…」

「おつかれやなぁ〜
あ、忠義って呼んで言うたやん!」

「先輩ですもん
…どうしたんですか?」

大倉先輩はにこっと笑って、
「さくらちゃんに会いに来た〜」

そんなこと言われたら、
期待しちゃうじゃない。


きっと
他の人にもこういう感じなんだ
そう言い聞かせていても、
鼓動が速くなるのは止められない。



「これあげる」

大倉先輩はそう言って、あたしの手に丸い小さなものを落とした。

「ボタン…?」

大倉先輩のブレザーには第2ボタンが無い。

…少女漫画じゃあるまいし。
ほんとに第2ボタンもらったの初めてだ。


「さっきの女の子達にあげなかったんですか??」

あたしがそう聞くと、大倉先輩は顔を近づけて、

「さくらちゃんにあげたかったから断ってきた。」
と言う。



「…どういう意味ですか」

彼の行動にいちいち踊らされてる自分が情けなくなって、思わず声が少し大きくなった。

「怒らんといてや、俺さくらちゃんのこと好きやもん」

またそんなこと言う。

「…俺本気やで」

大倉先輩の笑顔がすっと消えて、

次の瞬間には

彼の腕の中にいた。


「卒業したらなかなか会えなくなるけど、もう俺絶対に他の人好きになれへんから…
さくらちゃんの
笑った顔も、
声も、
優しいとこも、
強がりなとこも、

全部全部大好きやから…」


強く抱き締められて、

それと同時に破裂しそうなくらい心臓がどきどきして

息が苦しくなるくらい嬉しくて。


「…聞いてる?」

あんなにかっこよく告白してたのに、何も言わないあたしに不安になったのか、
見上げた先輩は困った顔。


思わず笑いそうになるのをこらえて、あたしはずっと言いたかった言葉を口にした。


「あたしも好きです」



これからの春は、


あたしたちが、赤い糸に出会った季節。

























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