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dream
天然もご愛嬌。

計算問題は、

苦手です。










天然もご愛嬌。











「渋谷くん、あてられてるよ!!」


斜め前の天使からお告げが。

見上げた先には、黒板に書かれた訳のわからない図形と、待ちくたびれたような先生の顔と、


そして、可愛い可愛い俺のさくらちゃん。


高校の入学式も出ていないようなサボリ魔の俺を授業に出させているのは、
数日前の席替えだった。


なんてったって中学の時に一目惚れしたさくらちゃんが斜め前に。

…そんな俺にこの数式は無理だ。


「渋谷!!早く言え!!」


そんなときに答えを囁いたさくらちゃんと恋がはじまる…

みたいな展開は可能性ゼロ。


だってまだ俺の方が頭良いもん



「584やと思うよ!!」


嘘つけ。
角度なのに360越えてどうすんねん。


「ちゃうわ!!すばる、145やで」


村上が横から囁いてきた。


「145」

「お、お前よくできたな!!」













昼休み。

一眠りしようと屋上で横になると、後ろから声が聞こえた。


「渋谷くん、ここにいたんや!!」

振り返るとそこにはさくらちゃん。


「おん、どうしたん??」


見た目以上に動揺して、思わずいつもより高い声が出た。


「今日の数学、変な答え言ってもーたから謝ろうと…」


そのために俺探しにきたのかぁ。
可愛い。


「あ、ええよ結局正解したし」

「よかったぁ〜うちアホやから…」


隣に手をついて座ったさくらちゃんは風に吹かれていつも以上にきれいに見えた。


「そこもええとこやけどな」

「ほんまに思ってる??」

「おう」


思わず届く距離にあるさくらちゃんの手を握った。


「すばるくん意外と手おっきいんやね〜」

動揺もせずさくらちゃんはそう言って、にっこり笑った。

…いますばるくんって言ったし。


「俺さくらちゃんのこと好きや」

「知っとるよ、うちも好き」

「…ひょっとして数学の時間から計算??」

「なんのこと??」

きょとんとした顔で首をかしげる。


「ま、ええわ。」



天然の君も


計算高い君も


全部好きだから。








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あきゅろす。
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