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dream
元気が出るおまじない


いつだって一生懸命なあなたは


あたしのためにいつも


とびきりの笑顔、見せてくれるよね


当たり前のことだけど


助けられてた。






元気が出るおまじない













「はぁ〜。」


吐く息の白い帰り道。

あたしのついたため息を、
隆平はやっぱり見逃さなかった。


「ため息ついたら幸せ逃げるで!!
なんかあったん??」


そっとあたしの顔をのぞきこむ。


「べつになんもないよ」


まるで母親みたいに心配するから、それだけ返した。


「ま、ならええんやけども」


隆平はにっこり笑ってまた前を向いた。

手をぶらぶらさせるから、しかたなく手をつなぐと、

赤く染まった耳が髪の間からちらりと見えた。

寒さのせいかも、しれないけど。



しばらく黙りこくっていると、隆平はまた、
今度はすこし頬をふくらませてあたしをのぞきこんだ。


「…なに??」


「やっぱ今日元気ないやろっ??」


べつに。そんなことないってば。

最近あんまりうまくいかないとか、
そんなこと全然ないってば。

そんなこと……



あたしが黙っていると、隆平はなにかをくみ取ったらしく、

「しょーがないな!!」

といって、
少し声をおさえめにいつものネタ。


ぱーんっ!!!!


思わず二度見したあたしを笑いながら見て、

「元気が出るおまじないやで」

と言った。


「元気出た??」

「…うん」




繋いだ手に力をいれて、


けして離れないように。


あなたのおまじないなしじゃ、


あたしもう生きていけないから。















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