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dream
信号待ち

君と出会ったあの日も。


仲直りしたあの日も。


すれ違った日も。


寂しい今日も。









信号待ち












歩行者専用ボタンを見ると、あたしはあの日を思い出す。


「これ押さんと青にならへんで??」


声をかけてくれた、信五。

ぼーっといつまでたっても青にならない信号を見つめていたあたしは、

恥ずかしくて逃げたのを今でも覚えている。


今では歩行者専用ボタンを忘れることなんてないけど、

忘れたらまたあなたが来てくれるんじゃないかって、期待してる自分もいる。



…最後に会ったのいつだっけ??



彼はいそがしいから、あたしがわがまま言うわけにはいかない。



“付き合ってる”
この言葉、こんなに頼りないものなんて思いもしなかった。



会いたいときに会えるのが恋人ってのは大間違いで。




歩けば気が紛れるかな。
早く青にならないかなぁ…



そのとき



聞こえた、大好きな声。



「だから、お前は何回押し忘れたら気が済むねん」


「信五…??」


いざ会うと、恥ずかしくて声が出ないのが悪い癖。


「最近会えなくて、ごめんな」

「いいよ。いそがしいの知ってるし。」

「俺が望んでたのそんな答えやないで〜」


困ったように笑いながらあたしの頭を撫でた。

「寂しかった、とか素直に言うたらええやん」


無言で信五の胸に頭をもたれかけると、
ふわりと抱き締められた。



もう少し、あなたのそばにいさせて。


もう少し、もう少し、




信号が、青になるまでは。



















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