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dream
あなたの知らない歌

もっと、おしゃべりしたいな。


こっち向いてくれないかな。


そんな気持ちで書いた曲が


君に向けて書いた曲が


増えていけばきっと


この想い、伝わるのではないでしょうか。








あなたの知らない歌。












あたしの夢は歌手。
自分で言うと嘘っぽいんやけど、あたしは言葉で想いを伝えるのが苦手で。

昔からなにか“ツール”が必要だった。

いまじゃそのツールは歌。


でも、こんな風に1人のひとを想ってこんなにたくさんの曲を書いたのははじめてだった。


いつもあたしの路上ライブを見に来てくれる、まぁるい目をした彼、名前は安田章大。

終わったあと、いつも優しく声をかけてくれるのが嬉しくて、頭にあるのはいつもあなたのことばかり。


「今日、最後の曲新しいやつやったろ??」

今日も話しかけてくれた。

「うん、ありがとう。」

安田くんのために作ったんやで。
そんなこと口がさけても言えませんけど。


「最近なんかあった?」

突然の安田くんの一言にあたしは思わず顔をあげた。

「…なんで??」

「バラードばっかりやん。もちろんさくらちゃんの歌うバラードも好きやけど…
昔みたいにまた明るい曲も聞きたいな。」

ちょっと困った顔で言ったあなたが、可愛らしくて、憎たらしい。

あなたにであった頃は、それだけで毎日楽しくて、


でもいまは伝えられない気持ちがもどかしくて、


気づいてよ。


うつむいたあたしを、そっと包む暖かいもの。


一瞬状況がわからなくて、

安田くんに抱き締められてるとわかって、

鼓動が倍速になった。


「さくらちゃんがいつも明るい歌うたえるように、僕が幸せにするから、付き合ってくれへんかな??」


言葉が聞こえて、嬉しくて、
なにも言えなくて、うん。とうなずいた。


あなたのために、次は明るい曲、作ります。

でもその前に、たくさん作ったあなたの知らない曲、聞いてな。

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