dream
紙飛行機
想いよ、届け。
追い風にのせて、
あなたのところへ。
紙飛行機
学校に続く道。
冷たい手をさらに冷たくする強い風がふく。
「…寒っ…」
片想い中の女の子はデリケートなんだから気遣ってよね。
心の中で口を尖らせた。
今時2年間も一途に進展0の片想いなんて珍しいんじゃない??
お相手は学年1番人気の横山裕くん。
男の子にも女の子にも大人気で、手の届かない存在。
「はぁ…」
ため息をついてつっこんだポケットの中には、眠い目をこすって書いた手紙。
1行目には宛先、[裕くんへ。]
そう、今時ラブレター。
直接言う勇気はないけどメアドも持ってないあたしはこうするしかないのです。
ようやく着いた学校の下駄箱で、1番逢いたかった人が1番逢いたくない状況で目に飛び込んできた。
「横山くん、付き合って」
告白しているのは1つ上の先輩。
そりゃもう大人の色気がございまして。
あたしは急に勇気がなくなって、早足で横を駆け抜けて教室に入った。
放課後。
朝につけられた心の傷も癒えはじめた頃、ポケットの手紙を思い出した。
「もういいや…」
友達に散々愚痴り倒して、軽くなげやりになったあたしは、
手紙で紙飛行機を折って窓から飛ばした。
「じゃ、また明日ね」
友達の美咲を見送って、またため息をつくと、こめかみに何かが当たった。
「…なに、これ…??」
紙飛行機が、帰ってきた。
急いで開くと、あたしが書いた手紙。
[裕くんへ。 好きです。]
その下に走り書きがあった。
[俺も。]
驚いてあたしは窓の外を見た。
そこには照れくさそうな裕くん。
彼の口が動く。
つ き あ っ て く だ さ い
うなずいて。
想いよ、届け。
追い風にのせて、
2人の未来へ。
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