初めまして、好きです【東方】
早苗×アリス
※学パロ
毎日同じ時間、同じ車両、同じ席に座っている人があまりにも綺麗で、その人を見るために私も毎日同じ時間の同じ車両で同じ席に座るようになりました。生憎向かいの席には他の人が座っているので、仕方なく斜め前の端に座っています。
「…、…あれ?」
居ない。車両を見渡しても姿を見つけられない。
車両を変えたんでしょうか…。
「席、此処じゃないと駄目かしら?」
ずっと入り口に立っていた私に、いつも私が座っている場所から声が聞こえた。
「毎日此処に座ってるでしょ?」
声を掛けてきたのは私が毎朝見ていた人。どうして、貴女の席は空いているのに。それにその物言いだと、私が毎朝その席に座っているって知ってるみたいじゃないですか。
「座って?」
席を一つずれ、端を私に座るよう促された。私は取り敢えず会釈をしてから隣に座った。
「どうしてこの席なの?」
「座る場所を決めるのに理由がいりますか?」
こんなに空いているのに。
車内を見渡しても人は疎ら。冬場だからか、端が空いていても真ん中に座っている人もちらほら居る。
「降りた時に階段が近い。これは理由でしょ?」
「…、綺麗なものが見えるんです。綺麗でとても美しいもの」
「私にも、見えるかしら?」
「貴女には無理です」
私の答えが嫌だったのか、眉間に皺が寄った。
だって、私が見ているものを貴女が見れるのは、鏡の前でだけですから。
「教えてくれないの?」
「知っても見えませんよ」
「意地悪ね。ヒントは?」
「私は朝しか見たことがないです」
「…私はって事は他の人は見れるの?」
悩んでいる姿を見ながら、想像と違う人だなって思った。
初めて言葉を交わすのに、不思議と途切れずに会話をしている。それも相手から会話を繋いでもらっている。お喋りな人には見えないのに。
「この列の席では見れるんです」
「なら向かいの列じゃ見れないのね」
「んー、見れない事もないです」
「…景色じゃないの?」
「違いますよ」
また悩み始めて、小さく笑ってしまった。答えを知ったらどんな反応をするんでしょうか…。
「答え、言いますね」
「えぇ、分からなくてモヤモヤするわ」
「貴女ですよ」
「…え?」
「貴女を見てました」
電車が止まる。降りないといけないので私は立ち上がり、また会釈をした。
唖然としている耳元で
「好きです」
と呟いてから電車を降りる。窓越しに目が合うと、頬を染めながらも優しく微笑んで下さいました。
それって脈有りってことですよね?
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最初はアリス視点で書こうとしたんですが、そうするとアリサナになるからやめました(笑
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