[携帯モード] [URL送信]

box
ホントはね(謙光)
(捧げ物)




忍足謙也(15)
今、俺には付き合っとるヤツがおる。


入部式の時に初めて見たソイツは黒い髪をしていた……だけなら良かった

両耳には合わせて5つのカラフルなピアス。
おまけに鋭い目付き。

名を、財前光と言った。

愛想悪いわ先輩相手に生意気な態度とるわで周りからの印象は最悪。

だけどテニスの腕は確かで二年でレギュラー入りした実力を皆認めていた

段々と興味が湧いていた時、顧問のオサムちゃんからダブルスの声がかかり、俺らはダブルスを組む事なったのだ

(内心ガッツポーズやったで、ホンマ)

そしていつの間にか財前に惹かれていた俺は、財前にアタックしまくって今、お付き合いをしているというわけだ




だがしかし、現在天才と呼ばれとる財前光くんは見た目通りの性格やった。




「財前、財前」



「なんすか」



「光って読んでええ?」



「嫌です」



「え」




即答+こっちを見向きもせず携帯を弄る、という態度に加え名前でさえ呼ばせてもらえないのだ

こんな感じに俺の恋人はツンデレのデレの部分が無く、かなりガードが固い




「恋人なんやし名前で読んだってええやん」



「嫌なモンは嫌っすわ」



「……自分は俺の事名前で呼ぶくせに」



「なんか言いましたか」



「な、なんでもない!」




名前で呼ばせてくれないし手だって繋いだ事がない

手繋ごうとしたら手叩かれたし、後ろから抱き着いてみたら殴られかけた。

(あ、れ…恋人同士ってもっとイチャイチャラブラブな感じやなかったっけ…)


付き合ってもうすぐ2ヶ月弱。
これはさすがに嫌われてるんじゃないかと不安になった。







「なぁ財前ー…」



「はい?」




帰り道。
マフラーに顔を埋め、相変わらず携帯を弄る財前。

(歩きながらは危ないからやめぇ言うたのに)




「財前はさ、俺の事好きなん?」



「…は?」




あ、こっち向いた。




「やって名前…呼ばせてくれんしあんまり俺と居っても楽しそうやないし…」



「……」



「もしかして俺がしつこいから仕方なく付き合っとるんやないかな、って…」




沈黙と冷たい風が胸を締め付けるように俺に突き刺さる




「…もし…無理してるんやったら別れた方がええんかな…って」




それでも財前は喋らなくて、ああやっぱり無理してたんやな、って思った。




「あ、あはは…なんかごめんな!まず男同士って時点で間違って……え、ざいぜ、おま」




開いたままの赤い携帯を片手に、鼻の頭を赤くして財前は静かにポロリと涙を流していた




「え、…え?ちょ、どないしたん?なんか俺ひどい事言った?えっと、その、ごめん。謝るから泣きやんでや」




あわてふためく俺を余所に財前の瞳からはポタリポタリと涙が溢れる




「財前、ごめん。なんで泣いてるか教えてくれんと俺どないしたらええんかわからんくて…」



「ち、がいっ、ますわ…っ」



「え?」



「ち、がうん、です」




目をごしごしと両手で拭きながら財前は何度も違う、と繰り返した




「財前、とりあえずどっか座れる場所行こ?」



「は、い」




すん、と鼻を啜ってちょっと鼻声でしゃべる財前に俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになった


俺、なんか財前にひどい事言ったんかな?
財前は…泣くほど俺の事嫌いだったん、かな…





近くの公園のベンチに二人で座る。
こんな寒い中、公園に来る人なんていなくて公園には俺と財前だけやった




「はい、ココア」



「…ありがとうございます…」




寒いだろうと買って来たココア
財前は甘党だったから選択は間違ってない!……はず。




「俺、」




お互い喋らず沈黙が続いていた中、財前が口を開いた



「付き合うのとか、謙也さんが初めてやったんです」



「え、?」




財前は愛想はちょっと悪いが顔は良いし勉強も出来てしかもテニス部レギュラー。

モテないわけがない

俺はてっきり財前は今までに何人も女子と付き合った事があるのかと思っていた



「謙也さんも俺も、男やし、最初は試しに付き合ってみるのもええかな、って思て」



「…」




財前はココアを飲まずに俯いてぽつり、と呟くように話した




「だけど、謙也さんどんなに俺が冷たくしても何回も、何回も笑顔で話しかけてきてくれて」



「…おん」



「それで、段々俺、謙也さんの事、好きになってって…」



「え、」



「だから、俺、ホンマは謙也さんの事好きなんです」



「ほ、ホンマ?」




俺がそう聞くと財前はこくりと頷いた




「でも俺、好きな人にどんな風に接したらいいかわからんくて…しかも相手は男やし、ますますわかんなくなって…」





ああ、そっか。
財前は俺の事嫌いなんじゃなくて、甘え方がわかんなかっただけなんや。

まぁ男相手に甘えるなんてもし俺が財前の立場だったら同じように考えてたかもしれない




「だから、だから、」



「光」



「!」



「あのさ、俺、やっぱり光の事好き」



「…」



「もしかしたらまた、こんな風に悩ませちゃう事もあるかもしれへん」



「けん、やさん…」



「勝手だけど、だけど俺はやっぱり光の事が好き。好きなんや」



「…お、れも…俺も、謙也さんの事好き、です」



「ひ、かる…!」



「え、ちょ、け、謙也さん!」




光に大好きって言われた喜びと、恥ずかしそうにする光が可愛くて思わず俺は、光に抱き着いた。




「ここ、外なんすけど…」



「関係あらへん」



「あの、謙也さん」



「ん?」



「俺、ホンマに謙也さんの事好きです」



「…おん。
俺も光の事、大好きや」












かくして、俺は晴れて恋人の名前を呼ぶ事に成功。

それプラス抱き合う事も出来たし光が俺の事を好きっていう事も確認出来たわけだ。



そしてなにより、
俺は好き、と言われる喜びを知れた事が、一番嬉しかった。

























ホントはね、


(貴方の事が好きで好きでしょうがなかったんだ。)





















*アトガキ*


ぽんぽこ様への相互記念小説でした!

「光はツンッツンで謙也はイチャつきたくてベタベタする。最終的にはイチャイチャ」というシチュでしたが……あれ、なんか違う←
すみません勝手に光くん泣かしちゃいました><(私の趣味です^^^)←←
光のツンツン具合があまりうまく書けなくて中途半端なツンで申し訳ないです(`・ω・´)

こんな駄文でよければお持ち帰りして下さると嬉しいです^^*
返品可能ですのでいつでもどうぞ(笑)

それでは相互ありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたします*


11、1、17

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!