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アイスと溶ける(赤リョ)

(高校生くらい)







部活の帰りに買ったアイスの入った袋を右手に

左手には赤也の手。




「なんで手繋いでんの」



「いいだろ付き合ってんだから」



「付き合ってたっけ」



「おいちょっと待て。」




冗談もそこそこに、適当に公園に入ってベンチに座る

こんな時間なのにまだ明るい
珍しいなぁ、なんて考えながらアイスのフタを開けた



「なんでアイス?」



「食べたかったから」



「ふーん」




自分から聞いて来たくせに、ふーんだってさ
まぁこの人らしいけど




木のスプーンでひとすくい


あーん




「つめた」




少し多めにすくったアイスを噛まないで舌先でやわやわと溶かす

こうした方が長く冷たいのを口の中に保てるし、何故かこの方が美味しく感じられたから。




「んー」



「なんかお前って」



「あ?」




口に入れようとアイスを口の前に持って来てたら隣にいた赤也が言う。




「なんか幸せそうに食べるのな」



「…そう?」




別にそんな顔してたつもりなんてなかったけれど

いつの間にか頬が緩んでたのか。




「なぁ、一口」



「やだ」



「ケチ」



「…」



「…」



「…ほら」



「あー」



「美味しいでしょ」



「あーんしてくれたから美味しさ二倍」




何言ってんの、そう言おうとしたけれどそれより先に口を塞がれたから言えなかった


冷たかったはずのアイスはもうどろどろに溶けていて、生暖かかった

甘くて、濃いキス



溶けてしまいそうだ。

なんとなく、そう思った




「顔赤い」



「うるさい」



「あ」



「え?」



赤也が指差したのは持っていたアイス。

溶けかけてる。




「アイス、溶けかけてる」



「…」



「なんだよその目」




アンタのせいだ

そう言うよりこちらからキスした方が効きそうな気がした


(さっきのお返しだ。)


俺からキスなんて、滅多にしないからきっと驚くはず。





そう考えて、俺は彼に向かってにやりと笑った

























食べ物の恨みは強い


(覚悟しといてね)





















*アトガキ*

リハビリ!
最近蒸し暑くてしょうがない!


11、2、27

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あきゅろす。
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