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memory(蔵謙)




月曜日。
新たな一週間の始まるこの日を、俺がどれだけ嫌いな事か。


(夜が、明けなきゃ良かったのに)

そんな事考えてもしょうがないのは分かってる




「だるい…」



ついでに頭もズキズキと痛む。
今日はもう会社を休もうか。


寝癖のついた髪を掻いて冷蔵庫を開ける




「…なんもないやん」




ああ、そっか
昨日は久々にユウジ達と飲みに行ったんだった。

どうりでなにもないわけだ



昨日、俺は一番会いたくない相手に会った
会った、じゃなくて俺が帰り道に見かけただけだが。



思い出すだけで、胸が苦しくなる。


俺が、一番会いたくなかった相手

白石蔵ノ介。

中学時代、テニス部部長を勤め聖書と呼ばれた男。



俺の、元恋人。



俺と白石は高校に上がるまで付き合っていた

別れを切り出したのは白石の方やった。


中学生の俺達には問題が多すぎる、と白石は言った。

確かに男同士なんて結婚だって出来ないし、子供も作れない
周りにバレたら、なんて考えるだけで頭が痛くなるような関係だ。




(でも、俺は、)




そんな事、どうでもよかった。

白石と、一緒に居られるならどんな事だって乗り越えられる、そう思っていた



けど白石は違った。
白石は俺より大人やったから。
だから別れよう、なんて言ったんだと思う。



今でも記憶の中に残る、白石の優しい声。

手つき、
仕種、
笑顔、

全部全部、大好きやった。


仕事や私生活の中で、白石との楽しかった日々を思い出す事がよくある。

その度に俺は、まるでそんな事なかったかのように記憶にフタをする。



(知らない。)


(こんな事、知らない。)


(こんな人、元々、知らなかった。)


(なにも、なかった。)


(知らない。)


(知らない、知らない。)



(知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない!)







記憶が無くなればいい。



なんどそう思った事か。








(あぁ、しらいし、)
























(すきだよ。)




なみだが、こぼれた。























知らない、いらない


(こんな記憶、いらない)
























*アトガキ*


思い出したくない過去とかありますよねー(´ω`)

そして多分、白石は結婚しちゃってます^^←


11、1、20

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あきゅろす。
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