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離れぬように(蔵謙)





「謙也」




白石の、声。

目を開けたはずなのに、あれ?




「見え、ない」




起き上がって目をパチパチとしてみる。

なにか、巻いてある?




「目隠し…?」



「外したらアカン」



「なんで?」



「いいから」




いや、よくないんやけど。そう言おうとすると急に口になにかが触れた




「っ…、ぁ」



「…ふ、かわええ」




いつの間にか近付いていたらしい白石にキスをされつい声が漏れる

ベッドの上に来たなら少しくらい振動が伝わって来てもおかしくないのに。



手を伸ばすが俺の手は虚しく空気を切るだけだった




「し、らいし」



「なぁ謙也」




声の聴こえた方へ顔を向ける




「見えない、って怖い?」



「こわ、い」



「俺が見えないの、寂しい?怖い?」




小さい子供みたいにこくりと頷く俺にクスクスと笑う声が響く




「頷くだけじゃわからんからちゃんと、謙也の声、聴かせて?」




白石の声が段々と遠ざかる。



やだ、はなれないで。そばにいて。ねぇ、ねぇ、ねぇ、しらいし。かおが、みたいよ。



胸がきゅう、と締め付けられるように苦しくなって、
どくん、どくん、と心臓がうるさくなる。




「や、だ、しらいしっ
はなれ、ないで」




語尾が小さくなって情けない声が出た。


こんなもの!と、目隠しを外そうとしたらあったかい手が、俺の手に触れた




しゅる、しゅる

外された目隠し



大好きな白石の顔が見たいのに、目の前が霞んでよく見えない。


ぁ、あ、と小さな声しか出ない俺は目の前にいる白石に勢いよく抱き着いた。




「なぁ、謙也」




嗚咽でうまく返事が出来ない俺は黙って白石の次の言葉を待つ




「もしも、謙也の目が見えなくなったら、」



「俺が謙也の目の代わりになったるからな。」




それは、優しさなのか、それとも俺を繋ぎ止めるための、枷なのか。



単純な俺は、前者の考えを都合よく受け取った。

























心を縫い付ける


(離れないよう、きつく、強く、)





















*アトガキ*


白石は不安だから多分あんな事をしたんだと思う。

好き過ぎて不安、みたいな^^


11、1、1

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