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フェイク(蔵仁)



「お前なんか大っ嫌いや」




目の前の彼は確かにそう言った。

言葉が、胸に突き刺さる。




「し、らいし…?」



「信じられへん?そりゃそうやろなぁ。俺は毎日毎日お前に大好き、愛してる、って言ってるもんなぁ?」



目の前の白石は嘲笑うように、俺を見下したように冷たくそう言う。




「じゃあ、なん、で」



「最近っからなぁ、好きじゃないねん。お前の事」



「う、嘘…じゃ。」



「嘘じゃないで?仁王クン、君と付き合ったんはただ興味があったからや」



「…興味…?」



「そ。興味」




白石は俺に近付いて俺の胸を人差し指でトン、と突いた

すでに俺の心は白石の言葉のナイフでズタズタだった。




「詐欺師と言われとる男が恋愛ごときにどこまで本気になるか、気になったんや」



「は、?」



「は?じゃないわ。一回で聞き取れや」




ギッ、と鋭く睨まれて自然に身体がビクッと震えた




「つまり、や。何度も言うけど俺がお前と付き合ったんは興味があったから。
お遊びやったんや、お遊び。」




(う、そだ)


(白石は、こんな事、)




「あ、もしかして白石はこんな事言わないーとか思っとる?」



「あ、当たり前じゃろ!」



「現に今俺が、お前に、言っとるやろ。」



「…ぅそじゃ、…全部、全部全部、嘘に決まっとる!」



「いい加減しつこいわぁ。ホンマ自分うざいで」




なんで?どうして?
どうしてそんな酷い事言うん?

白石は、いつも俺に優しくて、
毎日毎日好きだって言ってくれて、


(全部、嘘だったん?)







「…違う」



「は?」



「おまんは、白石なんかじゃない!」



「何言うかと思えば…ホンマ意味わからん男やな」



「白石は、白石は、そんな――」





そんな、悲しい顔しない。
そんな、苦しそうな顔しない。





「俺は…!」



「………」



「白石の事、!」




























「――ん、仁王クン!」



「あいし、てぅ」



「は、はぁ?仁王クン?」




ゆさゆさと肩を揺すられて目が覚める。

スタンドランプがついていてぼんやりと白石の心配そうな顔が見えた。





「…白石…?」



「大丈夫か?うなされとったけど…」



「ゆめ…」




夢だったんだ。全部。




「…よかった、」



「仁王クン?」



「白石、」



「ん?」



「俺、白石の事、愛してる」



「なんやようわからんけど、俺も愛しとるで、雅治」





抱き着いて肩に顔をうずめる。


(あぁ、白石の匂い。)



俺の背中に回ってくる白石の腕。

それがなぜかとても嬉しくて、愛おしくて、不覚にも涙がポタリ、と零れた。
























悪夢から連れ出して


(そして慰めのキスを。)























*アトガキ*


私もどうか悪夢から連れ出して下さいorz
白石クン、仁王を抱きしめて寝てあげてね。


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あきゅろす。
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