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わん!(光謙)



「ん…」




カーテンから漏れる暖かな日差しに目を覚ます

隣で寝ているはずの恋人を起こそうと布団をはいだ




「…謙也さ、…ん?」




そこにいたのは耳としっぽのはえた子供




「…なんや、コイツ…?」




耳を触ってみると「ん〜」と言って耳をぴくぴく揺らした




「おい」



「…ん、ふぁ…だれ?」



「それはこっちのセリフや…お前誰や?」



「んー……おれ、けんやっていうねん…にいちゃんは?」




目を擦りながら眠そうに言う

…けんや?
謙也さん?




「ひか、る…財前光や」



「ひかる?」



「あ、あぁ」



「ひかる…ひかる!」





しっぽをパタパタと振り大きな瞳をキラキラと輝かせる姿、なんやろ

コイツ可愛いんやけど。




















イマイチ状況が掴めないのでもう一度聞く事にした。


(ベッドの上で半分犬になった子供と正座で向かい合っとるって…どんな場面やねん)


ちなみに今謙也さんは甥っ子の服を着とる
サイズはぴったりや






「お前の名前は?」



「けんや!」



「何歳?」



「んー…えっと、5つ!」



「どこから来たん?」



「わからん!」





……とりあえずアホっぽさから謙也さんやな
名前も謙也やし。


問題はなんで子供になったかって事と、犬化してるかって事。




「どうするか…」



「なぁなぁひかる!あそぼ!」




俺の服の裾を掴んでぐいぐいと引っ張って来るが無視や無視。

今はそれどころやない。





「小春先輩ならなんか分かるやろか…」



「ひかる!」



「いや、部長の方がええか?」



「なぁひかる!ひかる!」



「あーもう、うっさい!!」



「あ、う…」




俺が怒鳴ると謙也さんはしゅんと耳としっぽを垂らして涙目になった




「……ごめ、んなさぃ」




一言そういうと謙也さんはトボトボとベッドに戻り布団を頭まで被った


正直、ちょっとめんどくさい。

子供の面倒は見慣れてるけど相手は謙也さん。


泣かせるなんてしたくない。




「…はぁ、」




俺は布団に包まった謙也さんを布団の上から優しく撫でる

すると布団の中で小さな塊がびくりと震えた




「謙也さん、後でぎょうさん遊んだるから。
今は我慢してや。な?」




なるべく、優しい口調でそう言った。

すると布団からモゾモゾと出てきた耳




「ひかる、おこってない?」



「怒ってない」



「ほんま?」



「本間。」




俺がそう言うと謙也さんはがばっと布団から飛び出して来た




「じゃあ、あとでたくさんあそんでな!」



「わかった、わかった。」




くっついて来る謙也さんの背中をぽんぽんと叩いてケイタイを手に取る




「…もしもし、小春先輩?」



『あら、どないしたん?光君が電話なんて珍しい』



「ちょっと聞きたい事があるんスけど」



『聞きたい事?』



「はい、実は…」





朝起きたら謙也さんが半分犬になっとって子供になってしまった事を小春先輩に説明した。




『うーん…そんな話聞いた事あらへんわ…』



「です、よね…」



『昨日は何か変な物食べたりしたかしら?』



「昨日…あぁ確か謙也さんが、」



『何か拾い食いでも?』



「ちゃいますわ。
昨日、家来た時にお菓子持ってきたんすよ」



『お菓子?』



「なんか謙也さんのオカンが友達から貰ったとかでウチにも持って来てくれたんすわ」



『光君は食べなかったん?』



「まだ昨日は開けてなくて…多分謙也さんは家で食べて来たんじゃないすか?」



『そうかもしれないわね。そのお菓子、危険だから食べない方がいいわ』



「はい」



『それじゃ私も私でちょっと調べてみるわね。
何かわかったら連絡するわ』



「お願いします。」




電話を切って謙也さんを見てみると、謙也さんはうつらうつらと眠そうだった




「謙也さん、眠いん?寝る?」



「ん、…ね、ない…ひかると…あそぶ」



「はぁ、寝なくていいんならはよ起きて」



「…ふぁ、」



「あくびしとるやん。
ほら、側にいるから寝ぇや」




ベッドに横にならせて頭を撫でてやるとすぐに寝息が聞こえた





さて、どうするか。と思いその場から離れようとするとくん、と服の裾が引っ張っられる





「ん?」



「ひ、かりゅ…」





(…寝言、か)




仕方なくまたその場に逆戻りする。





可愛い寝顔に理性と言う名の糸が切れそうになった






















わんこになったスピードスター


(起きたらお腹すいたってうるさいやろなぁ)





















*アトガキ*


とりあえず途中切ります!
光はこういうの甥っ子の面倒で慣れてると思う^^

もっと可愛いわんこ謙也さんが書きたい…!


10、11、12

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あきゅろす。
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