[携帯モード] [URL送信]

box
ぞっこんなんやで(謙光)



もう11月
あと一ヶ月と少しで年も開ける

謙也さんも、もうすぐ卒業


登校中、大好きな彼の笑顔が頭に浮かんだ




「…学校離れたら自然消滅してまうんかな…」



「ないと思うで」



「ぅわっ!?ぶ、部長!?」



「謙也は光にぞっこんやからなぁ…」



「…勝手に人の悩み聞かんで下さいよ」



「あんなぁ光、謙也は、」




この人は人の話聞いとるんか、そう思って部長が何かを言いかけた時、




「おはよーさん、光っ!白石っ!」



「なんや噂の彼氏が登場やで?光」



「うっさいっすわ」



「なんや?なんの話?」



「それじゃ邪魔物は消えるわ。光、」



「なんすか」



「もう一度言うけど謙也は光にぞっこんなんやで」



「なっ!!白石!!!」



「ほな後で」




部長は言うだけ言ってささっと消えた
謙也さんはまだぶつぶつと部長に文句を垂れとる



(謙也さんは俺にぞっこん、か…)


でもそんなの変わってまうかも。

いや、でも謙也さん以外と一途やし。

でもだからって絶対に別れんとは限らんし…




「光?どないしたん?
そんな暗い顔して」



「……アンタのせいっすわ」


「えぇっ?!」




なんか騒いでる謙也さんをほっぽって俺は校門をくぐった

















その日部活に向かう途中、俺は最悪なモンを見た




「あの、先輩の事、好きなんです!
付き合ってもらえませんか?」




あぁ、見たくなかった。

(謙也さん、モテるからしゃーないし)


でも、


(でも、)





なんで?

なんで顔赤くしてるん?

アンタは俺のモンやろ?

アンタ、俺の事好きなんとちゃうん?





あぁ、こんなんじゃ卒業前に別れてまうかも。







俺はそっとその場を離れて水飲み場へ向かった

冷静になろ思て水を頭からかぶっていた時、




「あれ、光?」



「…謙也さん」



「あれ、光泣きそうな顔しとる。どないしたん?」



「…謙也さん、さっきなにしとったんですか?」



「え、?あ、あぁさっきは白石に呼ばれとってん
部室におったで」




(嘘つき、)




「なんで嘘つくん?」



「え、」



「謙也さん、告白されてたやろ」



「なんで知って、」



「なんでっ、嘘…つくん?…意味、わからんっ!!」




涙がこぼれそうになった

謙也さんの前でそんな格好悪い所見せたくない


そう思った俺はその場から走り出した

濡れた髪から水が滴り落ちた



「ちょ、光っ!!」



謙也さんは追い掛けて来る



「…ついてくんなアホっ!!」


「無理に決まっとるやろ!!好きなヤツが泣いとるんやからっ!!」




学校を出て住宅街の曲がり角、謙也さんは、ハッキリとそう言った

そして謙也さんに追い付かれてしもうた




「っ、…ひか、る」



「ぅ…謙也さんのっ、アホ!!」



「ごめん、ごめんな、光」


「、ぃややっ!!」



「光、」



抵抗する俺を優しく抱きしめる謙也さん



「なんでっ…!!なんで…」


「光、嘘ついてごめん」




しっかりと目を見て謙也さんは言った
真剣な表情、真剣な瞳




「告白、されたって言ったら…光、傷付くと思っとってん」



「…っうぅ」



「けど言わなかった結果がコレやもんな…本間にごめん、光」



「……っおれ、ただでさえっ…謙也さんが卒業してまうから別れるかもとか、いろいろ悩んどったのにっ…」



「おん、」



「なのに…なのにっ…泣いたのも全部、全部、謙也さんのせいやっ!!」



「おん、」



「っく、…けん、や…さんっ…」



「光、さっき言っとったけどな、卒業しても俺絶対光と別れへんよ」



「…っほん、まに?」



「本間。」



にかっと笑う謙也さんがとてもとても愛しい



「あ、そや、高校は一緒に通学しよーや」



「…俺と謙也さん家、っ逆方向やん」



「大丈夫や。俺が毎日迎えに行ったる!!
俺は浪花のスピードスターやしな!!」



「ぷっ…時間の心配ちゃいますわ。ほんま謙也さんアホ」



「お、光やっと笑った」



「あ、」



「光は笑っとった方が可愛ええで」



「…ぅるさいっすわ」



「顔真っ赤や」



「…ぶん殴りますよ」



「わゎっ、ごめんて!!」



涙はとっくに引っ込んでいて変わりに笑いが込み上げて来た


さっきまでなモヤモヤした気持ちもすっかり無くなってる


(謙也さんのおかげやな)




「謙也さん、好き。」




俺がそう言うと謙也さんは一瞬びっくりした顔をしてから笑って




「俺も光の事、大好きやで」















「お、光やん。おはよーさん」



「部長…おはようございます」



「謙也とはどうや?」



「良好っすわ」



















ほんま、謙也さんは、




俺にぞっこんみたいや

(ま、当たり前やけど。)























*アトガキ*


ちょっと久々更新^^
珍しく謙光!
男らしい謙也さんも好きだよー\(´ω`)/
光めっちゃ乙女や(笑)


10、11、9

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!