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不幸の始まり!?
0センチ……
手は掴まれた状態で後ろには木崎悠真がこっちを向けと言っている。
これは一体、どんな試練なんですか!?

お、俺が振り向けると思ってるのか!
振り向けたら俺は自分で自分を吃驚する!そして頑張ったと褒め称える!!!





今の俺は手足は震えてるは、ギャグ漫画のように滝の様な汗が流れているっ!
それほど、背中からくる視線と存在に耐えられないのだ。





「……チッ……」



…………!!
き、きききき聞きましたか!?
舌打ちでたぁぁあ!ヒィィィイ!!
俺が何時までたっても反応しないから怒ったんだ!!
きっとそうに違いないっ!!




「……向けよ」



後ろから低い声が聴こえた。
低いと言っても、地の這うような脅したような声じゃなくて、テノールの聴きやすい、良い声。
そして、その声は少し掠れていて懇願にも似たような言い方だった。




だからだろうか……?




『……向けよ』


そう言われた瞬間、不覚にも胸が高鳴ってしまった。




そして、条件反射の様に後ろを振り向いてしまったのだ。




後ろを振り向けばやはりそこには、ものっそい美形の不良が居た。
先程の声は本当にこいつが出したのか?と疑ってしまう程だ。





「やっと振り向いたか」



そう、木崎悠真は言った。



思わず、顔を凝視してしまった。



いやいや!!
だ、だだだだって!言葉と同時にこの顔が微笑んだんだ!
え?
まってまって。
超貴重だって!!
だって見たことねぇもん!!
噂でも笑う事はないとか流れる程だぜ?それが、今!!
俺が後ろを振り向いただけで微笑んだ……。い…意外だ。
ってか、美形が微笑むと絵になるってか…こっちまで変な感じになるな……。







そんな事を考えている内に目の前に居る木崎悠真がどんな行動をしているのか、気付いた時は頬に手を宛がわれていた。



撫でるように触られる頬に少し擽ったい。木崎悠真を見ると………ん?
端正な顔が段々、近付いて……近付いて?



えぇ――――!?
な…なにこれ!!
このままいけば、キ…キッスしちゃうんですけど!?




その距離、僅か3cm。まるでカウントダウンかのように縮まる距離。





あと、2cm……。


近付いていると云うのに、目を離せないのは何故なのか。



あと、1cm……。




0………。


唇が重なる。


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