[携帯モード] [URL送信]

不幸の始まり!?
パニック
その夜、奏は1人で悩んでいた。


――――……
―――……
――……



最後にキスされた後、自分がどれだけ顔を赤くしていたのか手に取るように分かる程だった。



『……じゃあ…また明日な』


一度頭をポンッと撫でられてから、また貴重な微笑みを此方に向ける。


『は、はい…』


その微笑みを見て、一度治まったと思った心臓の動きが、また忙しなくドキドキと音をたて始める。


――――……
――……


だ、だから!!
なんでドキドキしてる訳!?
意味不明なんですけど!?え?待って待って…俺の事なのに自分で自分の事が分かんない!!
え!やばくね?
そ、そもそも…恐怖の対象である木崎悠真に対して顔が青くなるなら分かるけど赤くなる意味がわかんねぇ!!





ってか!!
お、俺…き…き…キスしちゃった…?
女の子とする前に男としちゃった!!




唇をそっとなぞる。あの時、木崎悠真が奏にした時のように唇の形を確かめるかのようにゆっくりと……。



そうしている内に思い出す。
キスしてしまった時の事を。
今でも残像が残っており、さっきまでの事がリアルに思い出される。
同時にボンッと効果音がなるぐらいに顔が赤くなる。
ベッドに横に倒れ、枕に顔を押し付けた。




頭から離れないのだ…。
キスされた時の木崎悠真のあの俺にどんどん迫ってくる目を閉じた端正な顔が頭にちらついて離れない。
あの真剣な顔が…自分にキスしたんだ…と思うとドキドキが止まらないのは何故だろうか?







明日からどんな顔して会えばいいんだよ……。
頭がぐちゃぐちゃだ。



その夜は、考え過ぎで、あっと言う間に寝てしまった。
緊張感の欠片もない。



朝…それは直ぐにやってきた。


目が覚めると同時に、学校へ行きたくないと思ったり、頭では昨日の木崎悠真の顔が忘れられなくて……矛盾した気持ちが交差する。



「はぁ……」


溜め息が図らずとも自然に出てくる。


部屋を出て、リビングに行くとテーブルの上には美味しそうな朝食が並んでいた。ハムエッグに、パン、サラダ、オレンジジュース。
キッチンからは母さんが顔を出す。


母さんは至って普通の平凡な親だ。
平凡な親から生まれた俺はやはりどう頑張っても平凡。
でも、生き方?は平凡じゃなくなってきている…道が逸れてるよな?


「あら。今日は起きるの早いわね」

「まぁ…ね」




[*前へ][次へ#]

10/16ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!