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その夜を超えて
時は流れた

ダドリー・ダーズリーの家に保護されていた。
守られなくちゃいけないのはハリーだし呪いを受けたのはハリーなのに、なぜか、私も同じように保護されいる。

あのあと、茫然自失している間に私とハリーはダーズリー家の玄関前に放置された。

そして、保護されて、今に至る。
現代に生きていた私はハリーよりも大人だったので、特に反抗もせず、目立たないようにを徹底して暮らしてきた上、魔法も発動することがなかったのにもかかわらず、その日本人の父親の遺伝から来る日本人の容姿が受け入れられなかったようで結局本で読んだようにハリーと同じ扱いを受けている。

といっても本に書かれていたことは本当に表面的で軽いもので実際に体験すると、とても辛いものだった。

よく原作のハリーはぐれなかったものだ、なんて笑い飛ばせるレベルではない。

かかわらないようにしたいと思っていてもあまりにひどいので、それを見て見ぬ振りができるほど私は非常でも自分本位でもなかったから、かあるでいど処世術を伝授し支えたところ、信頼の目で見られるようになってしまった。

幼少期の信頼できる存在とかそういう立場の人間の確率の仕方を舐めすぎたか、と焦りつつも、そのまま、過ごして、あの、ダドリーの誕生日を迎えた。















「おはよう。」

そう告げる。
光の入らない物置小屋の中で全体的にやせ細ったハリーと、日本人だからかまだとても小さい私はぎりぎり入り切る感じで身を寄せ合って眠っていた。

そして、起こすのはいつも私の方。

「おはよう、ユイ。」

そういってキラキラと目を輝かせて笑う彼にぎこちない笑みを浮かべる。
やっぱり、知っていても見ないふりをすると思うとすこし、罪悪感が私の中にできるので、うまく笑えないのだ。けれど、必ず引いている境界のラインがある。

それは。


”名前を呼ばないこと”

「ねぇユイ?」

そう声をかけてくるハリーに何?と淡々と返事をする。

その瞳が何か言いたげにしているのを感じながら心の中でつぶやく。

君はまるで刷り込みをされたヒナのように私をしたってくるけれど、私は、君のためにはならない、最低な人間だよ、と。





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