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弱ペダ小説
保健室通いの巻島くん(東巻)
※巻ちゃんが中二で東堂さんが保健室の先生です。巻ちゃんの髪の毛の色は黒です。校則とかあるので。

皆が登校して来る時間とはずらして、1限が始まってから15分くらいで来る。つまり、9時くらいだ。
普通なら遅刻として扱われるのだが、この少年だけは違った。

コンコン…ガラ…

巻「…おはようございます…ショ」

独特の喋り方の少年は、黒い髪の毛で、少し長めの前髪が暗い印象を与える。すらっとした体型で身長も高く、ごく普通の中学生とも言えるだろう。
少年は挨拶をしてぺこりとお辞儀をすると、部屋の中に入って鞄をおろした。
ただし、少年が入って来た部屋は保健室である。普段、怪我をしたり体の不調を訴える生徒が利用するこの場所が、少年にとっての教室であった。

東「よく来たな、巻ちゃん。今週も遅刻なしで終わりそうだぞ?」

そこへ、校医の東堂尽八がファイルのようなものを持ってやって来た。

巻「あ、はい…。あの、巻ちゃんてやめてください…、なんか…人の目もあるので…」

ぽつりぽつりと小さく訴えるが、東堂はケロッとしていて、また『巻ちゃん』とあだ名でよんだ。

東「ほら、マイプランに来た時間を記入して、それから…」

巻「自習ですよね。大丈夫っショ…です。わかってるんで…」

そう言って少年は鞄から、筆箱、教科書、ノートといった必要なものを出してくると、中央に置いてあるテーブルへ移動して座った。

東「むぅ…、相変わらず巻ちゃんの持ち物は高そうな物ばかりなのだな…」

上から東堂の声がふってくる。少年が顔を上げると、東堂が顔を顰め少年の手元を見つめていた。少年も東堂の言葉に小さく頷くと、でも…と呟いた。

巻「こんな高い物より…普通の家庭が欲しいっショ…。そしたら、もっと…今より友達が出来るかもしれないっショ…です」

東堂から見た少年の表情は、言葉の通り悲しげだったのだが、なぜか、心の奥底に怒りがある様な気がしてならなかった。

東「まぁ、そのために先ずは勉強だ。1限はもうすぐ終わるから、2限からスタートだな。ほら、早く時間を書いておかないと忘れてしまうぞ?」

そうやって急かすと、少年はさっきまでの暗い表情よりは、少しだけ明るくなったようにも思えた。
身の回りの、どんなに些細なことでも、指示を出してくれる人が居るということが嬉しいのだろうと、東堂は思った。

東「さてさて、今日の献立は何かな?」

ファイルに時間を書き込んでいる少年に、まるで家族のような会話を切り出す。
少年は口角をほんの少しだけ上げた。少年なりに微笑んでいるのだ。

巻「アイスがいいっショ……です」

年相応の可愛らしいことを言う少年に、東堂もつられて微笑む。
今日も長い1日になりそうだ、ふと、こんなことをぼやいてみたが、チャイムの音にかき消されてしまった。


私の相談室での生活を元にファクションでお届けしています。
気が向いたら、というか、ネタが無ければ続くと思われます。

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