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弱ペダ小説
山神(東巻)※死ネタ
※東堂の死ネタ。夏休みで、巻ちゃんは引きこもり。

いつも煩いくらいに鳴り響いていた携帯も、今となってはただの置物の様な物だ。

巻「はぁ…」

俺は、今日起きてから何回目かもわからない溜息を吐いた。

ブー…ブー…

着信が入った。ずっとかかって来なかったものだから、最近ではバイブにしている。
携帯の画面を見ると、田所っちと書かれていた。

巻「何なんっショ…。一体…」

仕方なく通話ボタンを押す。

巻「もしも((田『巻島ぁぁぁぁぁ!!』

プツッ…ツー…ツー…

思わず通話終了してしまった。だが、すぐに電話がかかって来て、後々面倒だから一応出る。

巻「もしもし…」

田『巻島っ!何で電話切ったんだよっ!!(怒)』

巻「クハッ…」

田所っちの反応が、どっかのバカと同じで、つい、吹き出してしまった。
そう、二度と戻ることのない、アイツ…。

田『何笑ってんだよ』

巻「何でもないっショ。で、何の用な訳?」

田『おぅ!今度な、皆で釣りに行くんだよ!お前も誘っとけって言われてな!!』

巻「釣りィ?…いや、やめとくわ…」

外に出るくらいなら、部屋にいる方が幾分かマシだ。

田『小野田の頼みなんだわ…。頼む!!』

巻「坂道が…?……しゃあねぇ、少しだけ…な」

昔から、坂道には弱かった。そこを突くとは、田所っちも卑怯っショ。

田『いいか?今度の日曜だかんなっ!絶対だぞっ!!』

巻「へいへい…。準備しとくから心配すんなよォ…」

何日ぶりの外出だろう…。
外は、どんな感じの場所だったろう…。
何もかもが初めての赤ん坊の様な感覚…。

これも皆、ライバルであり、俺の恋人でもあった、山神、東堂尽八のせいだ。
出来る物なら、俺の人生を返して欲しい。

巻「クハッ…死んだ奴に言っても、意味ねぇか…」

今日は、自分でも驚く程機嫌がいい。電話が来るまで、溜息ばかり数えていたが、気づけば、笑った回数を頭に刻んでいた。

巻「…お前は、天国で何してる…?」

届くはずのない言葉を小さく吐き捨て、今日、1回目の涙を零した。

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