キューピー
キューピー
6月も10日が過ぎ、暑いと感じるようになっていた。
ある日、松岡次郎のポケットからストラップが見えた。そのストラップは私が好
きなキューピーだった。キューピー好きな人は、周りにいなかった。それが、あ
の松岡次郎がキューピーのストラップを持っていた。しかも、私が集めていた、
ご当地キューピーだった。
そのキューピーは、はにわの格好をしていた。
私は思わずジロ-に話し掛けた。
「そのキューピー、どこの?」
勝手に体が動いて松岡次郎のキューピーを指差していた。
「あ…?あぁ、宮崎のだけど…」
イキナリ話し掛けられたジロ-は少し驚いていた。
「宮崎のかぁ。私、ご当地キューピー集めてるんだよね。ほら」
そう言って私は自分の携帯を取り出すと、ストラップ見せた。
「すげっ。全部キューピーだし。これ、どこの?」
「あぁ、これは…」
気付けば私はジロ-と普通に話していた。
ちょっとドキドキしていた。上手く話せているだろうか。
「俺、宮崎出身なんだよね。キューピーが好きってわけじゃないんだけど」
話しの途中でジロ-が言った。
「まだ、こっちのこと、よくわかんないし」
「じゃあ、私が案内してあげよっか?!」
自分の口から出た言葉に自分でビックリした。
何言ってんだ、私。友達とも言えない関係なのに、そんなイキナリ…。
「んーじゃあ頼むよ」
え!
「どっか遊ぶとことか教えて?」
「う、うん…」
えぇ。ってか、デートの約束??いや、デートとは言わないかな…。
でも、何か…嬉しいかも。
松岡次郎は意外と話しやすいのかもしれない。
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