キューピー
勘違い?
5月の終わりになった頃、グループでメイクの授業をすることになった。
私のグループのモデルはジロ-だった。
まだ、人にメイクするのなんて慣れていないし、筆を持つ手が震えた。相手が松
岡次郎だったからかもしれない。
ジロ-は微動だにせず、目をつぶってる。
私は震える手で作業を進める。
アイラインを書こうとした時、突然、ジロ-が目を開けた。
「うわっ!?」
思わず、私は上ずった声を出してしまった。
ジロ-は私を見ると
「さっきから手震えてるけど、大丈夫?」
と聞いた。
「あ…うん。ごめん…」
私は平静を装いながら返事をした。
本当は内心、心臓バクバクだ。
いきなり目開けるんだもん…。ビックリするじゃんよ…。
…
……。
てか、今、しゃべった?うわー。なんか微妙。
こんなのが初会話って、どーよ?
私は心臓の音が、ジロ-に聞こえないように、なるべく体を離しながら作業を続け
た。
作業が終わった後、
「あ…松岡君、ごめんね。モデルやりにくかったでしょ」
私は罰が悪そうな顔で話し掛けた。
「…いや、俺も緊張してたし。…俺よりメイクうめーよ」
私は、キョトンとしてしまった。
松岡次郎って、こんな感じだったっけ??確か私のイメージでは一匹狼で…無口
で…冷たくて…。
うん??
私の勘違いなのかぁ…。
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