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Short Novel

彼と付き合い始めて1ヶ月。
元々、友達期間が長くて付き合うっていう実感が沸かない。

私にとっても彼にとっても、お互い初彼、初カノ。
付き合うキッカケになったのは、私の告白だった。

彼を好きだと気付いたのは、5年前。
5年間も片思いしてたんだ。
それだけ片思いしてると告るのにも相当勇気がいった。

中学を卒業することになって思い切ってOKもらって1ヶ月。
特に恋人らしいことは何もしていない。

1回だけ仲良しの友達同士でグループデートしたくらい。
手すら繋いだこともない。

きっと色々経験している友達からしたら
『奥手だね』っていわれるかも。
そりゃ私だって手くらい繋ぎたいけど・・。

大体、恋人になった途端、上手く話せなくなっちゃったよ。
彼も何だか2人っきりになると恥ずかしそうだ。
おまけに高校は別々だから、これから・・・かなり不安。



そんな時だった。
さゆが彼と同じクラスになって仲が良いって噂を聞いた。

さゆっていうのは中学時代の友達で、割と仲良しだった。
同じグループではないけど、学校で会ったら話す程度。
一度も同じクラスにはなったことがなかったけど、部活が一緒だった。

彼と、さゆが同じクラスになったと聞いて、ちょっと心配だった。
というのも、前、さゆが言っていた言葉が引っかかっていたから。

『トウジ君ってかっこいいよね〜』

さゆは、よく私にトウジのことを聞いてきた。
彼女がいるのかとか、好きなタイプとか。

私は、女子の中で一番トウジと仲が良かったからだと思う。

結局、さゆがトウジに告白することはなかったけれど・・。


さゆは美人ってゆうより、カワイイ系。
ふわふわしてて、結構積極的だから男子には人気があったっけ。



何か・・不安。



そんな私の不安が的中する出来事が起こった。



その日は中学時代、仲良かったグループで集まって遊んでいた時だった。
その中に、さゆも来ていた。


何で?って感じ。
さゆは私とは確かに少しは仲良かった。
でも同じグループでもないし、ましてやトウジとは話したこともないはず。

なのに。

『さゆも来たいって言ってたから呼んだんだ』って何。
トウジのやつ、何考えてるわけ。

私の知らない間に、トウジとさゆの仲は急接近してるみたいだった。

私が、トウジの彼女なのに、まるで、さゆの方が彼女みたいで・・。


『お前達、付き合ってんのぉ〜?』

同じグループの男子が、トウジと、さゆを見て言った。


私達が付き合い始めたのは卒業してからだったし、付き合ってること自体を知っているのも
ごく僅かだったから、その男子は知らなかったんだろう。

でも、悲しい。
それって、私といるときより、さゆといる時の方が〔恋人〕っぽく見えるってことだよね??


『そんなんじゃないからぁー。それに、トウジ君は、里香と付き合ってんだよぉ』

さゆが返事をした。

『え?まじで??お前ら、いつの間にー』


話題は、私とトウジのことで持ちきりになってしまった。


笑いながら誤魔化してたけど、ふとトウジと見ると・・

俯いてた。

何か、まるで・・否定してるみたい。


何だそれ。

トウジ、私と付き合ってることバレたくなかったの??





遊びが終わって、帰る頃。

『さゆ、こっち側なんだけど、トウジ君もだよね?送って!』

という声がした。

トウジは、私をチラッと見た。
そして

『あのさ・・里香・・』

『じゃ、帰るね!またね!』

私は、そのまま足早に、その場を去った。



何言いかけたんだろう。
私に少しでも悪いと思って謝ろうとでも思ったのかな??

・・ってゆうか、何で帰る方角しってるわけ。
いつも一緒に学校帰り帰ってるってこと?

そりゃ、確かに、私達は恋人らしいこと何一つしてないし
メールはするけど、くだらないことだし電話だって、たまにしかしないし。

だからって、他の女の方にいっちゃうわけ?
さゆもさゆだよ。
何で、あんなことできんの?
仮にも、うちら友達だったわけだし?
そんで、トウジもそれ知ってるじゃん?

んで、私は・・

何もしてないじゃん。

もっと積極的になりたい。
もっと甘えたい。

素直になりたい・・。

さゆのとこなんか行かないで。




かといって、今更、性格変えるなんて無理に近い。

一体、どうしたらいいのかな・・。




デートに誘う・・。

あー!無理無理!恥ずかしいもん・・。
ってゆうか、男から誘えよ!こーゆうもんはさぁ・・。
大体、何て言って誘うわけ?
デートって、どーいうとこに行ったらいいの??
わかんない・・。全然わかんない・・。

友達に聞くのも何となく恥ずかしいし・・。
うーん。



そういや・・。トウジが前言ってたっけ。
見たい映画があるって。
あれは、私も見てみたいって思ってたし、さり気なくだったらいいかな・・。

よーし・・!



『この前行ってた映画、水曜なら安いみたいだよ。学校帰りに私、見に行こうかなぁ。
トウジも見に行きたいなら、一緒に行く?』

メール送信っと・・。

何か、わざとらしかったかなぁ・・。
いやいや、そんなことないよね。

返事くるまでドキドキするかも。


思ったより早くに返事はきた。


『水曜は、学校の皆と遊びに行くんだ。映画の感想教えてな』


・・・・。

私より学校の友達デスカ・・。
どうせ、さゆもいるんでしょ?

なんなの。

ってゆうか、トウジは私のこと本当に好きなわけ?

むかつく。

映画だって、トウジと見たいって思ったもん。
トウジと見なきゃ意味ないもん。



こんなんなら付き合わなければよかった。
そしたら、前みたいに友達として考えれたし。
悩むことだってなかった。

これじゃ、付き合ってるのに意味ないよ・・。



それから、メールはしなかった。
朝、おはようってトウジからメールはくるけど返さなかった。


何だか微妙な気持ちだったから。
トウジのことは変わらず好きだけど、トウジの気持ちが分からなくて。
確かめ方も分からなくて。


恋愛の達人なら、こんなことでイチイチなやまないんだろうなぁ。
私なんて初心者もいいとこだし。
困ったなぁ・・。
皆、どうやって付き合って、どうやって恋愛していくんだろう。



そんな微妙な恋愛が続いて少しした頃、小さい時に仲良かった近所のお姉さんが帰ってきていた。

その人は、数年前に結婚して嫁いで行った。
お姉さんは見るのは久しぶりだった。


『里香ちゃん、久しぶり〜!大きくなってー。お姉さんらしくなったわね』

久しぶりにみる、お姉さんは子供を産んだとは思えないくらい綺麗だった。
昔より綺麗かも。


少し世間話をしていると「今、彼氏はいるのか」と聞かれた。

『里香ちゃんにも、彼氏ができる年になったんだねぇ。いいねぇ〜』

お姉さんは懐かしそうな顔をして言った。

ふと思った。
ちょっと聞いてみようかな。
友達とかだと気恥ずかしいけど、お姉さんなら・・。

ちょっと恥ずかしかったけど、トウジとのことを相談してみた。

『ちゃんと話したほうがいいよ。付き合い方がわかんないってのは最初はそうだけど
徐々に慣れていくものだし、人それぞれの付き合い方があるんだから。心配なら
心に止めておかずに話し合うことも大切よ』と、お姉さんは答えてくれた。

そして

『いくつになっても恋愛って難しいよ。私もそう。未だにダンナのことよくわかんない。
だから、話し合ったり、愛情表現って大事なの。黙ってて相手に伝わることなんて
あんまりないからね』

と笑いながら言った。



お姉さんくらいの年齢になっても恋愛って難しいんだろうか。
・・トウジとも、話し合った方がいいのかな・・。





そして、その日、トウジから何気ないメールがきた。

私は思い切って、トウジをデートに誘った。
もう不安な思いはやめたいし、直接トウジの気持ちを聞きたくなったから。
今までみたいに、あやふやにしてたら、本当にトウジが好きなのに
トウジと別れることになりそうだったから。




デートの日。


私はトウジに聞いた。

私のことをどう思っているのかなど、今まで不安に思っていたことを全部。


そこで、トウジは
『俺、さゆとは何もないから。勘違いさせるようなことしてごめんな』
と言った。

話を聞けば、トウジは、さゆに私との付き合い方について相談していたらしい。
トウジもまた、私と同じように悩んでいたんだ。

やはり、さゆはトウジに気持ちがあったようで、少し前に
それとなく告られたらしい。
しかし、それを断ったところ、逆にハッキリ自分の気持ちを里香に伝えた方がいいと
説教されたらしい。

『不安にさせるようなことしてごめん。
俺、今まで部活ばっかで付き合い方とかよくわかんなくて。
何か友達とかに言うのも恥ずかしくてさ』

トウジは照れくさそうに俯いた。




デートの帰り道、初めて手を繋いだ。
トウジとの距離が少し縮まった気がした。
もう友達じゃないって気がした。




家に帰ると、お姉さんが来ていた。
家に戻るから挨拶に来たと言う。


『里香ちゃんには勉強になっちゃった。
最近、家事とか育児でイライラしててダンナと話し合う余裕もなかったし思いやれてなかったんだけど
里香ちゃんの相談聞いてたら逆に私が新鮮な気持ちを思い出してね・・。
もっと思いやり持たなきゃって実感したよ。ありがとね』

お姉さんは、そう言うと『彼氏と仲良くね』と私に微笑んで帰っていった。




私が結婚する相手はトウジなのかな。
それとも全く違う人?
でも、いつになっても恋愛って変わらないのかな・・。
もっと大人になれば恋愛って上手になるものだとおもってた。
でも、いくつになっても恋愛に[絶対]なんてないのかな?
恋愛って奥が深い・・。


ピリリッ。

メールが着た。

『来週の日曜、この前行ってた映画見に行こう』

トウジからだった。


私は、お姉さんの言ったことが少しだけ分かったような気がした。
そして、来週のデートを想像してニヤけている自分に気付きハッとした・・・。

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