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Short Novel
叶わない恋
僕は叶わない恋をしている。

どんなに想ったって彼女に届くことなどないのだ。


僕の一目ぼれだった。


彼女に触れたい‐。
けれど、所詮、夢のまた夢。

話すことすらできない僕に彼女との未来は見えない。

おまけに僕は自分に自信がない。

男のくせに肌も白くて軟弱で…。

こんな僕のことなんか、彼女が好きになってくれるはずなんかないんだ……。






ある日、彼女を身近で見ることができた。

僕の胸は高鳴る。


彼女の髪の香りがする…。
彼女は、僕の方をジッと見つめた。
何か言いたげな表情だ。



…ん?彼女が泣いているぞ!

一体どうしたってゆうんだ?!


僕は彼女に近づく…。

だけど、周りが邪魔して、それ以上、近づくことはできなかった。


あ〜!なんていうことなんだ!

僕は彼女に何もしてあげられないのか?!


いや、まてよ。

一つだけ…あるじゃないか。


そう、僕の命と引き換えに彼女を守るんだ!




いよいよ…運命の瞬間だ!

『俺が守ってみせる!!』







…そう、花粉から。




彼女は、シュッと僕を抜き取ると


『ヴワックショイ!』
という大きな音を出して鼻をかんだ。



これで…彼女は救われた。

僕は、それだけで満足だった。
例え、命が尽きようとも最後に彼女に触れられ、彼女の役に立てたのだから‐。

僕は鼻水を包み込むようにして丸められ、ゴミ箱に、ポイッと捨てられた。



−さようなら………。




ピンポーン。

誰かきたみたいだぞ…。

薄れゆく意識の中、一人の男が目に入った。


『香織の部屋にくるのは初めてだな〜』

誰だ?馴れ馴れしいな。


彼女は、男と楽しそうに話す。


『そういや、花粉症が、ひどくってさ〜。しかも、このティッシュ硬いんだよー?やっぱ
安売りの物はダメかな〜…』



…報われない恋。
…叶わない恋。



そんな悲しい恋をしているティッシュがいることを皆さんは忘れないで下さい。



(´□`。)°゜ウアアアン


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