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Short Novel
初恋
君を−。

忘れた時はないよ。

いつも、君はココ(心)ん中いて。

私に笑顔で話しかけてくれたことを思い出す。

君は、いつも私に優しかったよね。

君だけが支えだったんだよ−。





あれから、7年。

まだ、はっきり覚えてる。


この街。
この景色。


大ッ嫌いなモノ−。





−7年前。

私は、地元を飛び出した。

理由は色々ある。


私は、この街には嫌な思い出しかない。

そして、君に出会ったのも、この街だったよね。


君とは小学校の頃からの付き合い。

小学校の頃は、ただの友達って感じ。
悪ガキだった君は男子からも女子からも人気だった。

私とは、よく喧嘩する仲だった。
喧嘩っていってもカワイイものだったけど。


中学に上がって、私は変わった。

小学校の時は、それなりに明るくて友達もいた。
だけど、中学に上がってから、同じ小学校の女子が一人もいなくて
違う小学校から来た子とは、中々打ち解けることができなくて。

段々、一人でいることが多くなっていた。

君は、相変わらずクラスの中心的な存在。
だけど、変わらずに私に話しかけてくれたね。


私にも、やっと仲良しの友達ができたけど
ちょっとした誤解から、私はハブられてしまった。

何回も『私じゃない』って言ったのに
信じてはもらえなかった。

明らかに仲間はずれにされてて、君にも
それが伝わったんだろうね。

君は、そのことは何も言わずに休み時間、一人でいる私を見つけては毎日話しかけてくれた。

嬉しくて、嬉しくて・・。

でも、私なんかといちゃダメだよ。

私は嫌われてるから−。


彼の優しさが大好きで、私は彼を好きになった。

初恋だったのかな・・。

でも、好きになればなるほど、彼に見られたくなかった。

いつも一人でいる私を見せたくなかったんだ。


次第に私は彼を避けるようになった。

でも、君は私と一緒に帰ったり電話をかけてくれたね。


ありがとう。

あの時は素直に言えなくてごめんね。



あれから、クラス替えもあったけど
君とは卒業まで同じクラスだった。

でも、相変わらず私は一人。

何をされるわけでもない。

だけど、話しかけても無視。

無視、無視、無視・・・。


これも、イジメだったんだろうね。

直接、何か言われるわけでもないから余計に辛かったよ。


もう学校なんて行きたくない!

私は学校へ行かなくなった。


大嫌いだ。

全てが。


君の優しさを受け止められなかったんだ。


卒業式の前日。

君から電話が掛かってきた。

『出てこいよ』って。



勇気ないよ。

あんな思い出のある学校になんて行きたくないよ。


それっきり、君とは会わなかったね。


私は、地元を離れて都会に出た。

私のことなんて誰も知らない。


そう思ったら、心が楽になって
今までの私は捨てた。


好き勝手やって、遊びまわって。

でも、心の中で君が、いつも言うんだ。

『無理すんなよ』って。


無理・・


してる。

誰も私のことは知らないけど、
私は何一つ変わっていない。


本当は苦しいんだよ。

一人は寂しい。
一人は怖いんだ。


誰も、信じることなんてできなかった。


だけど、どこかで君の言葉が私にストップをかけていたのかもしれない。

だから、私は本当に落ちるとこまで落ちなくて済んだんだ。


変わらなきゃ。


君に似合う女にならなくちゃ−。





7年ぶりに地元に帰ってきたよ。


君に会いに−。



『綺麗になったな』って言ってくれて、凄く嬉しかったんだ。

私は言ったよ。

『好きだった』って。

君は恥ずかしそうに 

『俺も』って言ったね。


あの時、言えなかった『好き』って言葉。

やっと言えた。

ずっとずっと心に、引っかかっていたから。

君に、想いを伝えられた時、心が軽くなったよ。



今、こうして、また君に会いにこれたのは
君と同じように愛せる人が出来たからなんだ。

君と同じように私が荒れてた時に優しくしてくれて、支えてくれた人なんだ。


君の面影を、ずっと追いかけてたんだよ。


でもね。


これからは、今の彼だけを見ていきたいんだ。


この街も
この景色も

大嫌いだった人たちも

表情が変わってみえるんだ。


それは、君のおかげだよ。

君が私を変えてくれたんだ。


君は、今、彼女ができた?

これ、聞きそびれちゃったよ。


そうだな、また何年かして
この街に帰ってこようか。

そして、君に、聞きそびれた事を聞こう。



その時は、君は結婚しているだろうか。
子供もいるだろうか。


今、私の心に君はいないよ。

私は前に進むから。


君を、また惚れさせるくらいの良い女になって帰ってくるから−。

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あきゅろす。
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