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Short Novel
メガネ
私の好きな人。

目立つ方じゃないけど、頭が良くて王子様タイプだ。


私の嫌いな人。

目立ちたがり屋で、バカで野蛮人だ。


私の好きな人。

無遅刻無欠席。副生徒会長で、女性に優しい。


私の嫌いな人。

学校にはこないけど、族の集会には必ず参加。私のことは『メガネブス』呼ばわり。


久々に学校にきたかと思えば、そいつは言う。

「お前、アイツのこと好きなの?バッカじゃね」

むかつく。
あんたに言われたくない。

でも、私の態度は『好きです』オーラでまくりなんだろうか。
あんな奴に見破られているなんて。



眼鏡を外して、コンタクトにしてみた。
本当はコンタクトって苦手意識がある。
慣れなくて最初は痛い。

でも、可愛くなりたい。
ブスなんて言わせない。
彼に振り向いてもらいたい。


そんなある日。

「付き合ってくれないかな」

彼から告白された。

嘘みたい。
こんな日がくるなんて。

彼は

「眼鏡からコンタクトにして変わったよね。
カワイイ」

と言ってくれた。

嬉しい。
信じられない!
彼と恋人同士になれる日がくるなんて。



「ブスがメガネ外したってかわんねーよ」

水を差すようなアイツの一言。

本ッ当むかつく奴。

でも、ブスって言われたっていい。
好きな人から、カワイイって言われたんだから。




メイボになった。
結構、腫れが酷くてコンタクトは出来なかった。

またメガネをかけて学校へ行った。

彼は
「やっぱりコントクトの方が良いね」
と言った。

私は早く治したくて眼科に行った。


メイボは思ったよりも治るのが遅かった。



メイボになって5日経った時

「他に好きな子ができた」
と言われて振られた。


不思議と涙は出なかった。
あんなに憧れていた彼の言葉だったのに。



また眼鏡生活に戻った。

メイボは治っていたけど、コンタクトに戻そうとは思わなかった。
元々、コンタクトは好きじゃなかったのかもしれない。


私の憧れの王子様は、早速新しい彼女が出来ていた。
とてもカワイイ後輩の子。

私は、仲良さそうに帰る二人の様子を廊下から見ていた。


「何、まだ未練あんの?」

・・バカがきた。

私は何も言わず、帰ろうとした。


「コンタクトより、メガネの方が俺は好きだけど」


後ろから声がした。
振り向くと、彼は私の目を見て言った。

「これから学校にくるから、ノート見せろよ」





本当、信じられないことって続く。

まさか、私が、あの野蛮人と付き合ってるなんて。


「メガネも良いけど、キスする時は、コンタクトのがしやすい」

初めてのキスの時、彼は言った。

・・バカ。

だけど、とても幸せだった。

メガネ生活は止められそうもない。




−だけど、たまにはコンタクトもいいかな。

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あきゅろす。
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