HR始めまーす。
ほぼ同時。
もうHR寸前なのに、何やら大きな足音が。
「……どゅらっしゃあああぁあッ」
『いだあぁあああぁああッ』
妹、万緒が来た。
それも般若面で。怖いから泣けて来た。
『ななななな、な!?』
「せめて言葉にしろよ!!」
志村君がすかさずツッコミ入れるけど今は聞いてらんない。
あ、今更だけど視点切り替わってます。
私、千緒視点ですねハイ。
「あ、ごめん。沖田様と目なんか合わせるからウザくて。」
『いや、意味がよく分かりません。』
「私、【沖田様に苛められ隊クラ部】の部長になったんだ」
『どっからツッコんで欲しい?とりあえず、【隊】なのか【クラブ】なのか【部活】なのかハッキリしよう、お姉ちゃん、ちゃんと聞くから。』
「何で沖田様と目え合わせてんだよ」
『会話しようよ』
妹、万緒が私の胸倉を鷲掴みしながら言う。
勿論、クラスの格好の的っつう次第ですハイ。
しかも、廊下の窓から何か「L・O・V・E!!お・き・た」とか在り来たりなラブコールが聞こえる。20〜30ぐらいの黄色い声。
「何でィ、うるせー」
ひとつ沖田君が毒づけば
「きゃーもっと言って〜」
「踏んづけて〜」
キモい。
ハッキリ言わなくてもコワイ。
『ひう〜』
「あ、テメー今キモいとかコワイとか思ったな」
双子ビバ。
こんな時もペレパシー…。あ、違。セレパシー?
「アンタさっきのじゃないですかィ。…ほぅあの噂の美人双子たぁ、おもしれぇや。よし、妹もっとヤれ」
「沖田様ぁわかりましたぁ」
『妹キモいッ!!てか沖田君何で楽しそうに笑ってんの?あ、コレもしかして標的が土方君から私に移った感じ?』
私はギリギリと胸倉を持ち上げられながら沖田君に必至に答えを求める。
ねえ、笑ってるだけじゃ分からないんですけど。
「よーし、そのまま鼻フックしなせィ」
「私にして下さい」
「して欲しい奴にはしない主義でねィ。嫌がる顔がたまんねーから」
『そう言いながら私を見るなぁあああぁあッ!!…あ、ちょ…万緒ちゃん、鼻の穴に指入れないでくんない?痛い痛い痛い!!』
「フハハハ」
「姉妹愛も糞もねーや」
『お前ええッ覚えてろぉ』
もう、鼻だけで宙に浮きそうな時―――。
神は私に何かくれた。
「今流行りのお遊びはSMごっこですかコノヤロー」
「そんな遊び流行るかぁッ」
志村君のツッコミよりも、銀髪の眼鏡の白衣が教室に入った事により、教室のざわめきはおさま……り?鼻から指が抜き取られ…。あ、何か【沖田様に苛められ隊クラ部】は既に撤退していた。
「よーし出席とるぞー。返事は"ヅラ"な。」
「先生、それはヅラを被った先生に失礼だと思います。」
挙手をし、発言したのは長髪の男子、か…ヅラ君だ。
「ヅラじゃない桂だああああああああ」
あ、双子以外にもレロパシー通じた。
「いや、口に出してるから。てかお前、ここのクラスだっけ?」
「先生、僕は無視ですか?孤独感に苛まれやすいデリケートな年頃桂です。」
「ヅラ取れ。」
「地毛です。先生、今心に消えない傷が僕を苛ましてます。」
『先生、去年私頼んだから入れてくれたんじゃないの?』
「貴様ぁ会話に横入りするなぁあああぁあ」
ヅラ君が私に向かって何か吠えたけど知らない。
私は先生を見る。
「ちょ、見るなぁあああぁあ。そんな目で先生を見るなぁあああ」
『え?軽く苛め?教師からも?』
若干睨みすえたら、怒られた。クソ。
「…気を取り直して…出席は後にしまーす。てかめんどくさいんで、しません。今日は新学期なので、これで終わりな。」
こうして、むっさ適当なHRは終わり、大掃除も無視してZ組だけが下校となった。
私は、まだ掃除をしてるだろう妹を待つべく、中庭にあるベンチでケータイでも弄ろうと軽い足取りで向かった。
『やっぱZ組は面白いなぁ』
1人でに言葉も出る。
「千緒、あんなクラスが良いんですかィ」
恐怖というか、あの嘲り笑う黒い笑顔を思い出したのと、それが視界に入ったのは多分、同時。
何故か、名前を呼ばれた事に嫌悪感を感じたのは黙っておこう。命が大事だ。
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