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締め出された姉


ダーンッッ


叶音家の玄関のドアは、その形を反り返らせながら開いて、閉じた。


『ぶげッ』


開いてる前提で突き進んだのだろう、私の姉は情けない声を玄関先であげた。

ガチャン

カギとチェーンが反動でかかった。
否、私がかけた。
理由は簡単だ。うちにあんな姉は要らん。


バンバンバンバン!!



『開けてええええあああッ』


「近所迷惑じゃヴォケああッ」



ドア越しに姉が叫んでたら、隣りの人が叫び返した。近所迷惑だ。


『あ、土方ー』


なに、既に知り合いだと?
ドアに耳を当てて聞いてみることにした。


「お前ぇ夜にうるせーんだよ」


確かに。


『いや、鍵が反動で…』


莫迦か。コイツは本物の莫迦ですか?


「そうか…そういや妹は?」


おー瞳孔君覚えてたの。今、沖田様の犬の玩具に昇格したわ。


『居るけど…寝たのかなあ?あの子早寝早起きだから…』


意味分かんねーよ、てかまだ夕方の6時。
筑前煮がコトコト言ってます。


「あ、俺ン家………か?」


クソ、救急車で聞こえなかった…。
え?俺ン家?…か?


――俺ン家でヤラナイか?
※注※妹の脳内変換↑


なんだとおおおいあいあッ


『え?……土方が良いなら…』


ちょ…そこは断ろうよ。
まだ会って間もないんだよ?

ちなみに本当は「俺ン家のベランダから行くか?」である。

ダーンッッッ


勢いよくドアは開いて、閉じて、開いた。


「帰るよ!!そんな破廉恥なッ」


いきなりの妹の登場に土方と姉の千緒は少し驚いた顔をしたが、すぐに千緒は笑って「開いたー!!じゃ、土方またね」と言って、万緒よりも先に家の中に入ってしまったのだった。

残された土方と万緒は、目を合わせる。
そして万緒は一言。



「汚らわしいッ」



土方の叫び声が日暮れ荘に轟いたかどうかは、知らない。

叶音家では、千緒のアパートの住民の熱弁が続いた。
ちなみによく出た言葉は「高杉君の看病をしないと」だそうだ。





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