狂った歯車は止まれない。 *3 ********* 今のところ目標に目立った動きは見られない。 しいて言うなら、やってきたトンパに得意げな顔で「下剤入りならいらないよ?」と言っていたくらいだ。 先ほど、402番のプレートを受け取っていた奴がいたため、おそらく【レオリオ・パラディナイト】【クラピカ】そして【ゴン・フリークス】。我々が“軸”と呼ぶ少年たちが来るのはそう遅くないだろう。 “特別災害指定生物”のもうひとつの特徴。 なぜか、彼らを基盤に彼女達“特別災害指定生物”は動いているのだ。これに至っても理由は不明。 そして、余談だが、最近になってあの悪名高き盗賊団も基盤になっていることが分かったらしいが、正直マドカにとっては管轄外なのでさほど興味もなく。どうでもいい話だった。 「うえぇええぇ」 という声とともに、だばだばだばとなにかが零れる音を聴覚が捉えた。 予想よりも少し早く“軸”が来たようだ。 対象から視線をはずし、音のしたほうを見れば、缶ジュースを口に含んだであろうゴンがその口からダバーっと吐き出していた。 「トンパさん、このジュース古くなってるよ?味がヘン!」 「ッ!?ブ―――!!っまじか!あっぶねー!」 「……あ、あれ?おっかしいなぁ」 何万回も繰り返し見てきた光景を別段感情もなく眺める この後は、トンパが謝ってゴンがトンパの体を心配して終わるはずだ。 特に気にするような出来事ではない。 そんな事よりも、今までのパターンからして目標がここで動くことが多い。彼女の監視に専念することにする。 頭や眼球を動かさず、視線だけでその少女を目視する。 予想通りというかなんというか、目標はパァっと顔を明るくさせるとゴン達の所へ向かっていた。 まるで“来た!”とでもいうように。 「……えっ?」 ふと、マドカの場所に影ができた。 それはつまり、目の前に誰かが立っているという事を示している。 その人物を確かめるために顔を上げれば、目の前に [*前へ][次へ#] |