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エレベーターに乗り込むと谷川は18階を押した。
動き出したエレベーターのなかで、いままで無愛想な返事しかしなかった悠真が口を開いた。
「谷川さん。…昔裏世界にいませんでした??」
谷川は会って間もない悠真からそんな質問をされるとは思ってもみなかった。
切れ長の綺麗な二重の目が大きく開き、その驚きの大きさを示している。
「……どうしてそう思われたんですか??」
「いや…作り笑いのやり方がclown(ペテン師)みたいだと思ったんで…。」
その悠真の言葉に谷川は参ったというように眉をさげた。
「……そうですよ。元ですけどね。そういう山吹さんも…鬘。そしてその分厚い眼鏡は度が入ってないかと…」
一瞬で見抜いた谷川を見て、悠真は小さく口角を上げた。
「さすがclownのことはありますね。」
「……元ですけどね。なにか事情がありそうですが、私は聞きませんし変装の事は誰にも言いません。」
「…とか言って。単に面倒くさいことに首突っ込みたくないだけじゃないんですか??…"元"clownの柊さん。」
「…はぁ。もうその話は止めましょう。着きましたよ。」
そう言いながら柊はエレベーターを降りていった。
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