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車から降りる気配のない柊に魁は恐る恐る尋ねた。


「あの…降りないんですか??それとも誰かと待ち合わせですか??」


「さすが魁さんですね。そうなんです。怜さんの知り合いの方と待ち合わせ…あ。いらっしゃいました」


魁が柊の視線を辿っていくと、沢山の人が行き来しているなかで、こちらに向かってくる一人の男が見えた。


その人はチラッと車を覗き込みドアを開けた。


「あんたが怜の言ってた谷川 柊??」


「はいそうです。貴方は竹下 港(みなと)さんですね??どうぞ、お乗りください。」


「あぁ。わざわざ車出してもらって悪いな。ところで後ろの…」


港は助手席に乗り込むと後ろに座っていた魁に目を向けた。

魁は慌てて


「はじめまして。滝沢 魁と申します。あの…もしかして…作家の竹下 港さんでいらっしゃいますか??」


「あぁ。よく分かったな。」


港は驚きながらも魁の言葉に頷いた。


「えぇ。僕港さんの本大好きで、何度か雑誌などでインタビューを受けているのを拝見していて…。」


「そうか、ありがとう」


そう言って港は嬉しそうに笑った。

そして、港は柊に視線を戻し


「本当は死ぬ気で飛ばせ…と言いたい所だけど、さすがに俺も大人だからな。凄い急いで向かって」


それ大して変わらない…と魁は思ったが、思うだけにとどめておいた。


「クスッ…分かりました。魁さん。しっかりシートベルトつけておいて下さいね。」


そう言って魁達を乗せた車は走り出した。


…猛スピードで。

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あきゅろす。
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