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洪草の願いを聞けないさんほうちゃんは答えを出さぬまま書斎を後に妖魔の3人が眠る部屋に戻りました。あれほど人に必要とされたのは初めてでよくわからない心がもん吉くんを見つめると痛むのは何故でしょう。

安らかに眠る3人の幸せを願うさんほうちゃんは布団もかけず大の字で眠るもん吉くんの隣に横になりました。



「貴方は…何故私を困らせるのですか?」

「ぐっーう、ぐぅっー、」

「最初見た時から…ドキドキしていたなんて、口が裂けても言えませんよっ…」



もん吉くんの寝顔をゆっくり撫でながら本当の気持ちを伝えたさんほうちゃん。けして本人に言えない言葉で自分の想いを打ち明けます。

きっと出会った時からお互い運命を感じていたのでしょう。そこらの妖魔に胸がときめくなんてことは絶対にありません。



「貴方の夢が叶ったら―…私を見守っていて下さいね。」

「ぐぅっー、ぐっーう、」

「なぁんて…贅沢ですね、」



いつにもまして真剣な面持ちのさんほうちゃんは閉じた瞼にゆっくりと優しいキスを落としました。その時も高鳴る胸がとくとく、息絶えることはありませんでした。









早朝、書斎から出て釈迦様の前に突っ伏した洪草はさんほうちゃんの様子がおかしいことを把握していました。何故、自分の大切な人を奪った妖魔と好き好んで旅をしているのか。全く理解出来無いのです。

自分はさんほうちゃんの命の恩人です。それを口実に彼等を引き離すことが出来ればいいと考えていました。



「おはようございます、」

「ああ!おはよう、三蔵。よく眠れたか?」

「はいっ!朝は咲都の外れにあるりんごを取りにとん平と出かけてきますね、」



お目覚め、顔を洗ったばかりのさんほうちゃんの後ろにのしのし着いていくピンクの耳が生えた大きな猪の妖魔。りんごは旨いしいろんな料理に使えると楽しげにさんほうちゃんとお話しています。

満面の笑みで街に向かった二人が気になった洪草は険しい顔でさんほうちゃんを見送ろうとしますが、



「三蔵!ちょっといいか?今日は団体さんが来る予定でな…」

「えっ、」

「りんごは後でいいだろ?俺が案内してやるから。」



仲良く出掛けようとした二人を阻止して洪草は手中にさんほうちゃんを収めようとします。予定がズレてがっかりしたとん平くんはが太郎くんでも連れて行くと言いさんほうちゃんと洪草の前から姿を消しました。

さんほうちゃんは洪草がそんなことを考えているなんて知りませんから、てくてく着いて講堂に向かいます。



「三蔵、」

「はいっ、」

「ずっとお前が好きだった。昨夜言った通り俺はお前をこれ以上先に進めさせないからな、」

「やっ!こ、洪草っ!!」



優しい表情が一辺、凍てついた顔付きになった洪草は小さなさんほうちゃんを思い切り畳に組み敷きました。頭を強く打ってうまく立ち上がれないさんほうちゃんの目の前には必死な様子の洪草が居ます。

洪草自身、閉じ込めていた想いが爆発してしまいこれからさんほうちゃんと強引にでも交接しようとしているのです。



「離しっ、やああっ!」

「ふっ、相変わらず良い声してるな…お前は。そういう仕種で俺を狂わせる、いけない僧侶だっ、」

「ああっ!だめっ、助けて!誰か助けてぇっ!」



思い切り僧衣を破られたさんほうちゃんは白く滑らかな肌をおかしくなった洪草の前に曝け出してしまいました。

後ろには大きな仏様が居るのにこんな愚行を僧侶同士働くなんて…―さんほうちゃんは涙ながら洪草に訴えましたが、彼は聞く耳を持ってはくれませんでした。





[*Ret][Nex#]

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