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Sevendays/prelude




仕事が速い浅井さんはのろまなボクを横目で見る度、ため息をついて貧乏ゆすりをガタガタとし始める。両手を使ってキーボードを打つことが出来ないダメダメなボクは小刻みに震える人差し指で恐る恐るEnterキーを押した。

すると、赤い波線がいっぱい出て「もう一度入力し直してください」のフキダシ。もうこれで何回目だろう、つくづく自分のとろさに呆れた次の瞬間…



「ああ!ったくお前って奴は!一体今まで何を学んで来たんだ?えぇ?本当にコレでよく大学を卒業出来たなッ!!」

「ひぇえっ…!」

「そもそも人差し指だけで書類を作ろうなんて無謀なことよく出来るな!いつまで俺に付き合わせるつもりなんだッ?時計を見ろ!もう日が変わるぞ!」



深夜…11時58分、ボクと浅井さん以外はとっくに帰宅したであろう真っ暗な三課オフィス。

実はまだ週の始め月曜日。
それなのにこんな遅くまでボクの仕事に付き合ってくれている浅井さんはボランティア精神旺盛なのか、早く帰ればいいのにと何度も思ったがなかなか帰らない。



「すいませぇんっっ!」

「ったく…」

「あのっ、後はボク一人でやりますんでっ…浅井さんは、あのっ…」

「・・・。」



もう時計は0時を指しているというのになかなか席を立とうとしない浅井さんが可哀相に思えてきたボクは自ら帰ってもらえるよう誘導すればそそくさと帰ってくれるだろうと思ったがそれも無く。

薄暗く光る画面を見つめる蒼い瞳がボクの目を捉えてフゥーッと一回息を衝いた。



「帰らないぞ。」

「へっ…」

「お前を一人残して俺が帰ると思うか?一応これでもお前の教育係なんだ。日頃しっかりし過ぎている姫宮にずっと任せていたが…それは違うと思ってな。」

「あ、はぁ、」

「姫宮は同期で優しく教えてくれたかもしれないが俺はそんな甘く無いからな。」

「は、はいっ…」



本当は本当に帰って欲しかったのにまさかの帰らないぞ宣言。しかも優しく教えてくれた姫宮から鬼上司浅井宏紀へ教育係がバトンタッチ=つくづくツイていない…

というかこの時間がまだ続くのは本当に辛い。逆にボクが家に帰りたい。



「浅井さんは…姫宮からボクのこと言われたんですか?」

「はぁ?」

「あっ、だっていきなり…姫宮からバトンタッチするなんて…姫宮にボク、飽き飽きされちゃ
「お前らデキてんのか?」

「#&@*?!は…はい?」



突然突拍子も無いことを真面目な表情で言い出した浅井さんの言葉にボクは訳が分からなくなっていた。何でソッチに結び付けるのか、意味がわからない。そんなことがあるわけないじゃないか…

しかも話が本題とズレているし、余計作業が進まなくなっていた。



「ま、まさか!ボクは男ですよ?」

「ああ、ウジウジとしているが男だろうな。」

「うっ…(涙)それに姫宮だって男です!ちゃんとムネの大きな女の子が好きって言ってたし、ボクだって女の子が好きだし…それに、」

「わかった、わかったから…もういい。お前は正常だ。」



グサリと胸に刺さるようなことを言われながらもボクのことをわかってくれたような浅井さん。ちょっとさっきよりテンションは下がったようだけど、なんとか誤解は解けたみたいだ。

という浅井さんだってちゃんとした男の人だろうに(すっごいマッチョだし、バレンタインとかすごいし、カッコイイし、背が高いし…)



「確かにボクは浅井さんのように女性からモテませんが、一応興味は女性にありますから…」

「俺のように?」

「えぇ、浅井さんの噂はよく聞きます。入社当初からすごいカッコイイ三課の営業マンって女性からの指示がグッと!」

「・・・。」



太鼓持ちをしたボクだったがそれは少し逆効果だったようで。一点を見つめる浅井さんは何か思い詰めたような顔で黙り込んでしまった。

即座に辯解をしようとしても全く何も反応してくれないのでボクはどうしたらいいか分からなくなっていた。すると、



「でもな、」

「…?」

「本当に好きになった人からは好かれないようだ、俺は。」

「ッ、」



張り詰めた空気の中、とても寂しげな瞳がボクの深いところに強く訴えかけているようだった。

その言葉の真意、一体何が言いたいのか。
それがわかるのはまだ先のことだ。




…*…*…*…




言えなくたって誰よりきっと愛してるんだよぉおっっ!!!!



本編停滞してます
申し訳ありません。





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