0/Wing
柔らかい、肌の感触。
今日は小さなキミを連れて自分の部屋に閉じ込めた。きょとんとした表情で俺を見上げる可愛いキミはとても無防備で目が合えばニッコリ笑ってくれる。
そんなキミを俺は独り占めにしたい。誰も居ない場所で二人きり。どこか遠く、俺だけのものにしたいと常々思っていた。
「やすぉみおじしゃーん!」
「ん?」
「つぅねぇ、コーラがのみたいな♪しゅわしゅわぁーってするの、だいしゅきなんだっ!」
俺の妹の【里仲 美雪】(サトナカ ミユキ)[旧姓:朝比奈]は同じ営業課に居た【里仲 駆】(サトナカ カケル)と結婚して1年経ったくらいで子を身籠もった。その頃からずっと海外事業の展開を任されていた俺は日本からの久々の電話に驚きながらお祝いの言葉を彼女に伝えていた。
男の子と、医師から告げられていて早ければ12月の上旬に産まれるとのこと。何日間かなら休みが取れそうだったので可愛い甥の誕生を見ようと軽い気持ちで帰国した。
しかし、その軽さが甘かった。
初めて見た初めて感じた、神々し過ぎるほどに無垢な天使は俺のこれからの人生を余すことなく白に染め上げた。そして犯してはいけない罪に濡れ、感じた。
俺は甥である彼に『恋』をしている、と。
「はい、つばさ。つばさの好きなコーラ。」
「うわああーいっ!コーラ!やったあー、いっただきまーすっ!」
「ほらほら、あんまり一気に飲むと苦しいから。ゆっくり飲むんだよ。」
勿論そんなこと何も知らない幼くて、鄙猥な存在の彼を俺は組み敷いて犯して犯しまくって手に入れたくて仕方なかった。
だから冷やしたコーラ一杯を引き換えに俺の体に触れて、熱く滾った下半身をその小さな手で掴んで気持ち良くして。くだらない欲望が溢れては堰き止める、繰り返し。何度も何度も繰り返して悶絶しそうになっていた。
「やすぉみおじしゃんは…コーヒーのまないの?」
「えっ!、」
「コーヒー…あちゅいの?じゃあつぅがフゥフゥしてあげゆねっ、」
美雪が駆クンと二人でスーパーへ出掛けている間、俺は一先ずつばさを預かった。4歳のつばさはまだ言葉も拙いがちゃんと思ったことは言えるようだし、紅茶やコーヒー、飲み物の種類も分かるようだ。
熱くて冷めるまで待っていたコーヒーを口を尖らせ冷ましてくれるそのつばさの唇を、俺は早急に奪ってしまいたかったが辛抱した。
「あちゅいのへーきになったかなぁ…」
「あ、つばさ…飲まない方がいいよ。それ、すごく苦いから、」
「んっ、だいじぶ!つぅがたしかめてあげゆっ♪」
一生懸命フゥフゥしてくれたつばさは温度を確かめる為にまだ熱くて苦いであろうコーヒーを一口飲んだ。わざわざ豆から挽いてはないが好みに合わせてブレンドしたブラックは相当きつい。ちょっと飲んだだけで案の定不味い顔をしたつばさは拍子に俺の手を強く握りさらに上目遣いで「まじゅいっ」と小さく言った。
その瞬間は本当に耐えられそうに無かった。それは下半身だけじゃない、心がキュウッと潰されたように痛く、ズキズキ処じゃ済まないくらい。抉られたくらい痛くてたまらなかった。
「つばさ、」
「おとなのあじだねぇ。」
「あ…、ああ…コーヒー。そうだよ?伯父さんが飲むコーヒーは苦いから飲んじゃダメだからね。」
名前を呼んだ後、何が言いたかったのか。喉のすぐソコまで出かかった言ってはいけない真実の言葉。
「つばさが好き。」
どんな意味で取られるかなんて判っている。まだ幼い彼に言っても、妹の息子で何をひっくり返しても変わらない関係だって、今この時も無駄だって判っていた。
[*Ret][Nex#]
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