デート@/Sklave 7days
ひまわりタウンというショッピングモールで祝日の今日、僕は鬼上司浅井宏紀と待ち合わせしている。浅井さんがどんな格好で来るのか、私服をあまり見たことの無い僕は小走りでモールの中心、ひまわりの花のオブジェが立つ広場に向かった。
何故僕がこんなところに居るのかそれは昨日、お昼休憩から帰ってきた僕の机に端的なメモが置いてあったのが全ての始まりだ。
『日曜10時、ひまわりタウン・ひまわりの塔前集合』
達筆な字体からして浅井さんだと分かった僕は目の前で真剣にデータを打ち込む浅井さんに話しかけたんだけど、空気を読めと一言。何も分からないまま現在に至る。
「遅いっ!」
「ひぇえっ!」
「ったく、お前は何分俺を待たせたら気が済むんだ!後輩は先輩より先に来てるのが常識だろ!!」
約束の時間の5分前、ひまわりの塔に着いた僕はクリーム色のシャツにジーンズ、いつも見ている姿と違ってかなりラフな服装の浅井さんを見つけた。
普段だとよく分からない太い二の腕とか太ももとかとにかくすごい逞しい身体がくっきり浮かんで、背も高くて顔もカッコいいから浅井さんはかなり目立っていた。
「早く行くぞ!」
「どどどっ、どこに行くんですか!?」
「映画館だ。」
「やっ!ちょ、ちょっとなんで手を繋がないとっ、」
恋人同士みたいに手を繋がれた僕は早く歩く浅井さんに引かれ3階に向かうエスカレーターに乗った。
浅井さんは力一杯僕の指を握るから千切れてしまいそう、それくらい強く握られている。
「どう見てもカップルだな。」
「はい?」
「街でこんなふうにするのは恋人同士くらいだろ?映画を見て、ご飯を食べていろいろ…デートって楽しいものだよな。」
「なっ!コレ、デートなんですか?」
明らか男女のカップルと違う男同士の僕らは男同士なのに手を繋いで…、さらに体格も全く違うからとても浮いていた。
が、そんなことお構い無しの浅井さんは恋人面で僕と映画の列に並んでいる。
「こんにちは、チケットの御提示をお願いします!」
「あぁ、はい。」
「はい、ありがとうございます。お客様はカップルシートでの御観覧になりますので、こちらの通路へどうぞ!」
「あ、はい…分かりました。」
僕の何も知らないところで浅井さんは席まで(しかもカップルシートとかって言う特別な所)バッチリ決めていて、正直案内人との会話にも僕はついていけなかった。
ポップコーンとジュースを持たされた僕はいろいろ不安を抱えながらも浅井さんに導かれ、カップルシアターと書かれた如何わしい部屋に入っていった。
◆
続きます
ジャイアニズム浅井、
桜庭はのびたじゃありません
[*Ret][Nex#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!