◇
浅井さんはとても傲慢だから帰って来なかった僕は絶対に怒鳴られるだろうと予測してかなり腰を低くしてお家に侵入した。
鍵を持たされていたので音を立てずゆっくりドアを押すと可愛いパジャマ姿で仁王立ちしていた浅井さんの姿があった。
「桜庭、」
「あ、あしゃいしゃんぅっ…」
「誰と…どこで何をしていた?10秒以内で説明しろ。」
強かに威圧する浅井さんは太く男らしい腕を組みながらふらつく僕に近付いて説明しろと言ってきた。
その顔に何故かドキッとした僕はゆらゆら揺れる目を擦りながら浅井さんの身体に抱きついてしまった。別に好意があってやったわけじゃないんだけど身体は熱く自分でも意味が分からなくなっていた。
「…お前、相当飲んでいるみたいだな。誰とどこで飲んで
「うるしゃーいっ!」
「は?お前…誰に口答えしているんだ?」
あの浅井さんに対してとっても強気な僕はもう正直何もかもどうでもよくなっていた。
別にここに帰ってこなきゃいけないわけでもないから面倒だったし、浅井さんに一々行動を指図されたり管理されるのも嫌だった。
「だぁかぁらぁ、うるしゃっ!と、わあああっ、!!」
「桜庭…」
「やああっ!は、離せぇ!」
「俺を誘ってるんだよな?」
文句を言ったから怒られるはずの僕をギュッと抱きしめてきた浅井さんはフゥと息を吐きながら熱い身体を押し付けてくる。
バクバク高鳴る胸の鼓動がどちらかのなんて僕には分からない。それでも何処となく優しさ溢れるぬくもりが心地好い。
「桜庭、」
「んっ!」
「覚悟しろ、」
挑戦的な蒼い瞳が僕に近付いてゆっくり口づけ。ピッタリ合わさった柔らかい唇から僕の口に熱い舌が絡んで来る。
くちょくちょ荒らされた唇に唾液が溢れ首、さらに胸の方にまで流れ落ちた。
「そっ、んんっ…」
「さくらば、」
「あさいさぁんっ…や、やめてっ、あんっ!」
キスを終えても休む暇なく股間を弄られ大きな手で形をなぞるように揉み扱かれる。その熱い手の平に包まれたモノは直に触れて欲しいと更なる快楽求め固くなってしまっていた。
何に酔っているのか、分からない僕は浅井さん家の玄関で身体を試され、彼の胸に縋り与えられる快感に耐えていた。
「あ、あさいさん、だめぇっ…さわっちゃ、ここはさわっちゃだめれすっ、」
「変態、」
「っああ!」
「触って欲しくない割には、感じてるだろ?」
スラックスも下着も通り越して直に触れられたそれを上下に摩る厚い大きな掌。正直、浅井さんに扱かれて僕はとても気持ち良くなっていた。お酒が入っているとは言え、彼から与えられる悦には到底敵わない。
「おい、桜庭。」
「はいっ…」
「俺と、ちゃんと約束して欲しいのだが…」
「・・・。」
「二度と…二度と他人と酒を飲むな。外で飲む時は絶対に俺が居なきゃ、許さないからな。」
僕の酒癖がかなり悪いことは誰もが知っている。でも、浅井さんと僕はそんな束縛をする、されるような間柄ではない。
他人とお酒を飲むことを許さない浅井さんの束縛を一週間が終われば関係も無いと僕は考えていたのだけど、彼はそうは思ってはいないだろう…―と一瞬過ぎったが以降深入りはしなかった。
[ret*][nex#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!
|