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桜庭和希の慰め会と称した新人組三人での飲み会。あの後、本社に戻れば新商品の発注が相次ぎてんてこ舞い。一人になるのが嫌で姫宮を飲みに誘ったら、村雨も行くということで三人一緒に行きつけのお店『魚之屋』(うおのや)へ向かった。



「お疲れっ!」

「和希、おっつー!今日はあんなことがあったけど、今は飲んで忘れちゃおうぜっ!かんぱーいっ!!」



実は今回で何回目かの慰め会。内容は決まって僕の愚痴。(もちろん浅井さん関係)

たまに村雨の恋の話、プロ野球マニア姫宮の熱い試合解説などなど…
魚之屋でアルバイトしている【真木 誠二】(マキ セイジ)君も混ざっての宴会をしている。



「カズキさん!ちょっとペース早いから抑えて!」

「…ったく、また家まで送るのは勘弁だからな。」

「顔真っ赤だよ?」

「ふえぇっ?なんだよぉ〜まら二杯しか飲んでないんらよ!ねぇっ!!まら二杯!みなさあーん、わかりますかぁ?」



ダメだ、自分でも何言ってるか分からないぐらい頭がグラグラしてきた…前回は3杯ちょっと飲めたんだけど、今日は早いな…。

お酒が入ると人格が変わり暴れ出す傾向にあるらしく、この三人にはいつも迷惑をかけている。



「カーズキさん♪俺、今日終わりが0時なんだけど…後、30分だし一緒に帰ろうよ!」

「へっ?」

「ねっ、イイでしょ?」



帰りを誘ってくれるのは…姫宮?村雨?とろける視界でみんなの顔が同じに見える。
  
今回もこんな状態で駅までも無事着けるかどうか分からないし、誰かが送ってくれるなら甘えちゃおうかな。



「サンキュー、おせわになるまぁす!」

「うぅーんっ!カズキさん、ホントかわいいッ!俺、カズキさんだあーい好きっ♪」



肩を組まれて、大きな身体の誠二クンに頭をよしよしされる。

帰ろうって言ってくれたのは誠二くんか、童顔でちっちゃくてカワイイってみんな言ってくれるけど、僕は一応男だしあんまり嬉しくないんだよね…



「桜庭、ずっと携帯鳴ってるぞ。」

「今ので5回目だよ?」



実は気付いていた僕はブーブーうるさい携帯電話を乱暴に掴み、投げやりな口調で電話に出た。お酒が入っているのであんまし出たくないが何度もしつこいので仕方ない。

もちろんお酒を含んでいるため誰かは確認していない。



「うあっ?だれだぁ?こんなじかんにでんわしてきやがってぇっ!」

『・・・間違えたかな?』

「ぶぉくは、さくらばかずきだぁっ!アンタだれっ?」

『おっ、怖いこわいっ。』

「だれだよっ!早く言え、アホッ!」



酔いが回ってるからいつもより強気。お酒の力ってすごいね、相手もビビってるよ。



『お前の主人、浅井宏紀様だ。サクラ・バカズキ、早く帰って来い。』


「…アサっ、」



ブチッと雑に切られた電話…

恐ろしい低音のおかげで一瞬、酔いが覚めた。今日もまたあの悪魔ハウスに帰らないといけないのが奴隷として過ごしている僕に突き付けられた現実みたいだ。



「ごめん…みんな、きょーはもーかえります。」

「えぇっ!カズキさんッ、一緒に帰るんじゃなかったの?」

「ごめん、せーじくん。それはまらこんろとゆうことで…さよらら。おつかれー」



今日は一日休みのはずなのに浅井さんには何も言えない情けない僕。食事した分のお金を姫宮に預けて、僕は千鳥足で駅へ向かった。





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