◇
「浅井さん、お味はいかがで
「っ、まずい!」
せっかく作った朝ごはん。あまり作ったことのないボクがダシから取ってお味噌汁を作ったのに、感想は即答だった。
浅井さんに評価されるなんて、休日なのに仕事をしているみたいで落ち着けない。彼と居ると普段ずぼらな僕でも几帳面にしないと失礼な気がするし、本当すごく憂鬱だ。
「俺が作ればよかったな。」
「すいませんでした…」
「ったく、お前は一体何が出来るんだ?」
最初からそうしとけよと思いながら僕は空のお皿を片付けた。まずいと言いつつもちゃんと完食してくれていてちょっと嬉しい。
残った分のお味噌汁を飲んでみたら、確かに温くて味が薄かった。もしかして無理して飲んでくれた?意外と良い人だったりするのかな。
僕は普段料理をしない。
ご飯もコンビニ弁当やカップラーメンで済ませる中食人間だ。
それと真逆に浅井さんは和食が大好きで、毎日自分で料理するみたい。結婚するなら煮物や揚げ物をちゃんと作れるしっかりした人が良いとか昨日の帰り言っていた。ゲイのくせに結婚は出来ないだろうと、僕は心の中で笑っていた。
「味噌汁も作れないなんて使えないメイドだ。」
「すいません。」
「ふぅっ、もういい…ごちそうさまでした。」
僕に呆れながら浅井さんは伸びをして、その場で服を着替え始めた。
明るい朝の光りの中で、初めてはっきり見る男らしい体つき。これもまた僕とは逆、鍛えてるからこんな体しているんだろう。筋トレが趣味なのかな、腹筋もバリバリで逞しい。
「こっこここで着替えるんですか?」
「んっ、いいじゃねぇか。ココは俺の家だぞ?」
「そそ、そうですよね、」
実は僕、不覚にも脱がれてドキドキしてしまったんだ。あのカラダと重なることになるなんて考えただけで恥ずかしくて、恥ずかしくって…
うああっ…だめだめっ!何を考えてるんだ!僕のバカッ!
「どうした…顔、赤いぞ?」
「ひぇぇっ!!」
「なな、なんだよ…」
顔をぐぐっと近づけられて僕の緊張は急上昇。
心臓の音も浅井さんに聞こえちゃうんじゃないかなってぐらい、バクバクが止まらない。嫌いなのに、嫌いなのに何でこんなに意識してるんだ僕は!
「…桜庭、やっぱその格好は反則だ。」
「うっ、うわぁ!」
「女装はダメだろ、女装は、」
ゴチンと床に頭を打ち付け、にやけ顔の浅井さんに押し倒された。この人、加減を知らないのか肩を押す力がすごく強い。
倒れた僕は脚をばたつかせて必死に抵抗した。
「細ーい足が余計に見えるだけ無駄だぞ。」
「ぁうっ、」
「ふ、物分かりがいいな。」
威圧され、何も出来なくなった僕。膝立ちで近付いてきた浅井さんの顔。肩を掴まれどっと体重もかけられて、とても苦しい。押し潰されてしまいそう。
綺麗に浮かび上がる鎖骨にじんわり汗が溜まり、逞しい左腕が僕の頬に伸びてくる。
「んぅー、んっ!」
「…さっ、さくらば、」
顔を余すことなくゆっくり上下に擦られて、強く深いキスをされる。その最中浅井さんは履いている下着に指をかけ、今すぐ脱げますの体制に。
いよいよ今日この場所、この格好で僕は浅井さんのオンナになってしまうのか。忌避する以前に全く身動きが取れないので半ば諦めていたのだが…
「お前には見せないつもりだがな、」
「は、はい…」
「俺とはヤレないぞ。」
「はい…。って、え?」
こんなムードになったのに、まさかのヤレない宣言を下した浅井さんは浮き上がったモノを見てため息をつき立ち上がった。
主語が無くよくわからないでいる僕だが、次の浅井さんの行動ですべてを知ることとなる。
「自分のを想像した後に、これを見てみろ。わかるよな、」
「あ、?え、あ、ああっ…」
「まだ分からないのか?」
「い、いやいやいややや、だっ、もう十分です。そそそ、そんな、立派な、す、すいません。」
わかる行動とは浅井さんの下半身であった。
僕は自分の限界を知っている。アダルトビデオとかで見る男優さんのソレも検討はつく。その中でもあり得ないだろというような怪物モノのビデオは大学生の時に友達と見たことがあるが、それと同等なモノが目の前に聳えたっているのだ。(現在)
まさか身体も大きくて男らしい浅井さんが下半身までも裏切らないとは。あんなものが中に入ったらきっとおかしなことになるに違いない。
「ってことは…」
「お前がどうしてもというのであれば仕方ないがな…」
「な、なるほど…」
このままじゃ風間さんとの約束が果たせない。いい解決策はないものか、考えないといけない。セックスするには酷すぎるソレを目の前に僕は自分の下半身を抑え苦笑いしていた。
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