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DOLL

 【現在】
(地明かり)
 素子 荷物の分別をしている

素子「これは、もういらないでしょ。あれも・・・もういっか。使わない
   からねぇ。あぁ、でもコレはいるか・・・。ふぅ。こんなものかし
   ら・・・。あら?」

 素子 人形を見つける

素子「これは・・・。そういえば昔こんなのもってたわねぇ。けど、もう
   こんなに色あせちゃって・・・。古いし、もうコレは置いていきま
   しょうか。」

 梓「おかーさーん。ちょっと、お父さんが呼んでるよー。」
素子「何かしら?はーい。どうしたのー?」

 素子 はける

(照明 薄暗くなる)
(音響 )
(地明かり)
 素子 荷解き中

素子「それにしても急に転勤なんて・・・しかも初日から仕事なんて!な
   んて会社なのかしら!でも、早く終わりそうでよかったわ。これな
   らお父さんが帰ってくるまでには終わりそうね。あら・・・?人形
   ?おかしいわね。置いてきたはずなんだけど。梓が持ってきちゃっ
   たのかしら?もう、困ったわねぇ。梓ー!ちょっと来て頂戴!!」

 梓 はいる

 梓「はーい。なーに?」
素子「これあなたがもってきたんでしょう?だから、渡そうと思って。」
 梓「え?何言ってるの?私そんな“お人形”持ってきてないよ?」
素子「・・・え?梓でしょう?」
 梓「私、そのお人形はじめて見たよ?」
素子「じゃあ、他に誰がいるのよ。」
 梓「だから、私じゃないってば。お母さんの勘違いじゃないの?」
素子「・・・・・いえ、確かに置いてきた筈なんだけど。」
 梓「ふぅん。もう年なんじゃない?」
素子「もう!そこは気にしてるんだから言わないの!」
 梓「はーい。じゃあ、私、自分の部屋に戻るね。まだ、片付け終わって
   ないから。」
素子「分かったわ。自分の部屋が片付け終わったらこっちも手伝って頂戴
   ね。」
 梓「片付け終わったらねー・・・。」
素子「・・・・・・・・・・。」

 梓 はけようとする

素子「・・・ねぇ、梓。」
 梓「もぅ、なぁに?」
素子「この人形・・・捨てても構わないかしら?」
 梓「んー・・・でも、可哀想じゃない?せっかく可愛いお人形なのに。」
素子「うん。そうなんだけどね・・・。」
 梓「じゃあ、いらないなら私が貰ってもいい?」
素子「・・・なんかちょっと気味悪くない?」
 梓「そんなことないよ。ちょっと古びてるけど・・・可愛いお人形。」
素子「そう・・・じゃあ、あげるわ。」
 梓「うん。ありがとう!」
素子「じゃあ、片付けを始めましょう。」

 素子 はける

 梓「それにしてもこの子・・・ずいぶん古そう・・・。名前・・・とか
   ないのかな?うーん・・・あなた、マリーって感じの顔してるね。
   よし、あなたは今日からマリーよ。よろしくね、マリー!」

(照明 薄暗くなる)
 梓 転ぶ

 梓「きゃっ!」

(地明かり)
 素子 はいる

素子「梓!?どうしたの?」
 梓「お母さん・・・いま・・・お人形が・・・。」
素子「人形?人形がどうかしたの?」
 梓「お人形が・・・。」
素子「・・・・・。やぱり捨てましょう。確かに可哀想だけど。しょうが
   ないわ・・・。」

 梓 俯く

(暗転)

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あきゅろす。
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