愛を… 5 「ん・・・・・・帝・・・?」 ゆっくりと意識が浮上して、目を開ければ回りは真っ暗だった・・・カーテンの隙間から少しだけ、月の光が差し込んでるだけでほんとに暗い・・・ だから、隣に居るはずの人が居ないことに気付くのに少し時間がかかった 呼んだらいつも返ってくるはずの優しい返事が返ってこない・・・いないの? 「帝?」 どこ? どこに行ったの?帝・・・ 痛む腰を庇いながらシーツを体に巻きつけて寝室を出た・・・シーツには俺一人分の温もりしかなかった・・・ 寝室をでて、廊下を挟んで目の前にある脱衣所や、トイレを覗いて見ても帝は居ない ねぇ、どこ行ったの? 視線をあたりに回せば、開いているリビングの扉が見えた・・・ソレを見て何も考えずに俺の足はそこに向かっていた リビングも暗いはずだった・・・けど、俺が入ったリビングは電気はついてないけど、暗いってわけじゃなかった バルコニーのほうから光が差し込んでる・・・そこにあるカーテンも風になびいてふわふわと揺れていた その揺れるカーテンの向こうに、俺の愛しの人の姿を見つけて足早に歩いて向かった 帝・・・帝、帝っ トンッ・・・ぎゅっ 「!?・・・馨?」 「・・・・・・」 ああ、帝の匂いだ・・・ . [*前へ][次へ#] [戻る] |