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愛を…
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「・・・・・・」

「これで話は終わり」


場所をリビングに移して、ソファーで横に並んで座ってから俺は話し始めた・・・
俺が話してる間帝は一度も口を挟むことなく黙って聞いててくれた・・・
ねぇ、帝こんな僕をどう思った?
誰にも愛されなかった僕を、貴方は俺と一緒に受け入れてくれる?

俺が話し終わっても口を開いてくれない帝・・・それが俺に不安を与えて
帝の顔を見ることができなくなって俯いた
けど刹那、俯いた俺の頭に大きな手が置かれた
バッと顔を上げると帝が優しい顔で俺を見てて・・・


「話してくれてありがとうな
お前が過去に誰と付き合ってきたのか、何があったのか・・・俺はそれを全て受け止めてやる・・・誰にも愛されていなかったのなら、俺がお前を愛してやる・・・お前が別れを告げた弱いお前も、俺が抱きしめてやる
愛してる・・・馨」


俺の頭を撫でながら、彼はそう言ってくれた


「っみかど・・・帝、俺っ」


ホントはずっと辛かったんだっ
今でも、あの人たちのことを夢に見るんだ・・・そのせいであの時のことを思い出してしまう
冷めた目で僕を見る両親を・・・俺を睨み付けるようにみる奏を・・・俺を見ない大翔をっ
此処に居る皆も、もしかしたら本当はそんな目で俺を見てるんじゃないかって思って
もしかしたら、帝も・・・強がりで傲慢な俺に愛想をつかしたんじゃないかって
捨てられるんじゃないかって怖かったんだっ


「ここに来てくれてありがとうな、馨」

「帝っ帝ぉ」


気がついたら勝手に涙が流れてきてて、それを止めるかのように目尻と目頭にキスをしてくれる帝に俺は抱きついた


「離れていかないでっ俺を一人にしないでっ帝がいないと俺っ」

「大丈夫だ、俺はお前から離れたりはしねぇよ
死ぬまで傍に居てやる」


背中をあやすように撫でられて頭にキスをされて力強く抱きしめられて、それが嬉しくて幸せで俺は何度も頷いた


「離さないで」


絶対に離さないでその約束をずっと守って
貴方がいないと考えただけでも狂ってしまいそうなんだから・・・お願いだよ?


「帝・・・」

「ん?どうした?」


俺はあの時貴方に愛さないかもと言った・・・愛してしまってまた拒絶されたらきっと本当に潰れてしまうと思ったから
けど、俺はもう逃げないよ・・・


「愛してる」


俺に本当の愛を教えてくれたのは貴方だった
どれほどいらないと虚勢をはっても本当は誰かに愛して欲しかったんだ
帝は受け取ってもらえないと解っても俺を愛し続けてくれた・・・今度は俺がそれに答える番だよね


「愛してるの、帝」



ちゃんと受け止めてくれるんでしょ?今更拒否するなんて許さないよ

体を離して少し高い位置にある帝の顔を真っ直ぐ見上げてもう一回呟いた・・・
視線の先にある帝の顔は今までみたことない表情をしていた
驚い・・・てる?
こんな顔見れるなんて、俺って幸せ者だなぁ・・・なんて思っちゃったじゃん


「ホント・・・か?」


目を見開いて固まったままうわ言の様に聞いてくる帝に俺は笑いかけた


「ホント。決心したんだ・・・もう逃げないって・・・今まで逃げててごめんね
愛してるよ帝」


両手を伸ばして帝の頬を包み込んだ
その瞬間押したされるかのように抱きしめられた


「俺も愛してる」


うん、知ってるよ
本当は愛してない、とか言ったらそこの窓から飛び降りてやる

そう言ったら、帝は苦笑しながらあり得ないからって言って額を俺の額に押し付けてきた
目の前に・・・すごく近い距離に帝の瞳がある
真っ直ぐ俺を見つめてきて、まるで僕すら見られているかのように錯覚してしまう
じっと、真っ直ぐ見つめてくる帝を俺も見つめ返す・・・
黙ったままその状態でいて、どちらともなく口を重ねた

目を閉じて彼の感触を感じた・・・

優しくキスをされながらそのままソファーに押し倒された
その途端深くなるキス・・・
ゆっくり目を開けると、しっかりと目を開いていた帝と目が合った・・・
吸い寄せられる・・・絡み合った視線がもう逸らせない・・・

帝という甘く優しい網にとらわれた俺は、もう逃げ出せない
逃げ出したくなどない――









いいよね?僕・・・
どうか、許して・・・俺は帝と幸せになりたい

(許すよ・・・だから、いつでも笑っていて。君が笑っていると僕も笑えるから・・・ね?)







その後帝に抱き上げられてベッドに運ばれた・・・もう体が辛いとか気にしてられない
今はただ、帝を感じたい・・・
.




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