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愛を…






止まっていた歯車が動き出した・・・ゆっくりと、しかし確実に歯車は回っている
その歯車を止めることが出来るのは誰か・・・

裏切った男が、自分でそれを止めるか・・・
一心に愛を注ぐ男が、無理やり歯車を止めるのか・・・



未来がどうなるかなど、誰にもわかりやしない・・・








愛を・・・

最終章〜プロローグ〜





馨side


「帝、まだかなぁ」


もう食堂についてちょっと経つんだけど、帝はまだ来ない
一人で待ってるのはつまんないんだけど、食堂に来ているいろんな人が挨拶してくるから暇じゃない
けど、挨拶もそろそろ飽きてきた


「早く来ないかなぁ・・・」


人を長い時間待ってると思ってしまうんだ・・・
もしかしたら、来ないんじゃないか・・・って
ずっと、そうだったから
待っても・・・待っても、雨が降ってきても、そこにあの人が来ることは無い
“僕”一人がずっと、そこにいるだけ・・・ずっと・・・


なんて弱い“僕”・・・帝を信じてないわけじゃないんだ・・・ただ、“僕”が弱いだけ・・・
僕が恐れ始めてきてる・・・お願い帝・・・早く来て

ぎゅってテーブルの下で両手を握り締めた・・・その時、食堂内がザワめいた
それだけで誰が来たのか解る・・・帝が来たんだ・・・って
やっときた・・・でも、振り向きはしない
俺から顔を見せることはしないよ?自分で俺を見つけて・・・帝
――俺はここにいるよ?


コツコツって、靴の音がする
ソレがこっちに向かっているのは、周りの皆がだんだん静かになっていくからわかった
コツコツ・・・コツ
足音がゆっくりと止まった・・・俺の真後ろで・・・一瞬間を空けて、俺は暖かい腕の中に包まれた


「悪い奴だな、馨・・・俺が来たのに無視するなんてよ」


前に回ってきた手に顎を取られて、無理やり真上を向かされた
そのままの状態で首に彼の唇が押し付けられてなめられた
くすぐったいから逃げたいけど逃げられないし、かなり嬉しかったりするし・・・それを拒否する気も無いからされるがままで、上を向いたまま帝の言い分に反抗してみた


「どこかの誰かが俺を待たせたから悪いんじゃない?」

「そう言うなって、これでもお前のメール見た後すぐに生徒会室をでたんだからよ」


笑いを含みながらそう言って、俺の首から手を離して体をずらして斜め前に来た帝の顔をチラッと見て顔を背けた


「かーおーるー?」


そんなに拗ねんなよって隣でクスクス笑う帝に俺の毒気も抜かれていっちゃった
だから、いつも許してしまうんだ・・・
帝を許す為に顔を背けたままボソッと呟いてみた


「レアチーズケーキ」




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