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愛を…









『今日は次の一年間の同室者を決めるんだ。ちゃんと選べよ?』


「「「はーい」」」


『フッそういえば俺とペアになりたいとか言ってたよな?』


一斉に返事をした皆に鼻で笑い一度目を閉じて口端をあげた帝先輩…楽しそうに目を細めて辺りを見渡した

誰も何も言わないけど気になるに決まってる
なんたって自分たちのトップなんだから…きっと来年も会長は彼で決まりだろう…
そんな人と同室になりたいに決まってる
見初められたいとも…

皆可愛い子は期待を含んだ目で見ている
帝先輩は、しばらく見渡した後、彼は俺を見た


「!!」


いや、気のせいかもしれない…だってこんなに人がいるんだから、もしかしたら別の人を見たのかも…だって俺は背も低いし、ゴリラたちに囲まれてるし…俺の勘違い…そう思いたいのに…
俺たちの絡まった視線は外れることは無い…


『俺は、もう相手は決めている』


俺を見たまま、そう言った帝先輩に会場内は大きく揺らいだ
だってあまりにも衝撃的な一言だったから…
彼が自ら相手を決めた…ということは敏い(さとい)奴ならすぐわかるだろう

キングに思い人…もしくは恋人がいる……ということ…

今まで特定の相手を作らなかった彼が相手を決めてる…それはとても信じられないこと…もちろん…俺にとっても――

驚愕で目を見開いてると、また彼の口が動いた


『だけど、まだソイツには何も言ってない』


ゆっくりと伏せられた目…でも口元はまだ微笑んでいて、次に目を開いたときも、彼はまた俺を見た

やっぱり、気のせいなんかじゃない…帝先輩は俺を見てる…
でも、なんでそんな大事なことを俺を見て言うの?


『今からソイツを口説き落す…お前ら邪魔すんなよ』


そういうと帝先輩はマイクを置いて舞台上から飛び降りた
そのことで先輩姿が見えなくなった
今どこで、何をしてるのかわからない…もしかしたらもうすでに誰かを口説いているのかも…
(そんなの…嫌だな…)

シーンと静まり返る場内…誰の声も聞こえてこない
今帝先輩はどこにいるんだろぅ…そう思ったとき、視界に入る皆の頭が左右に動いてるのが見えた
その波はだんだんとコッチに近づいてきてゴリラの隙間から見えたのは、生徒たちが左右に道を開いて、その奥に彼がいたということ…
まっすぐに歩いてくる帝先輩…彼を通すために皆自然と体を退かしてる
誰も彼を止めない…彼の前に立ちはばかることは許されない…彼の雰囲気がそう言っている

壁沿いにいる俺の所にまっすぐ歩いてくる
俺を囲んでる人たちが一歩ずつ横にずれていく…俺を差し出すように…


そして、目の前には帝先輩…その目は俺を見てる…俺も目を逸らすことができなかった…






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